クロサギ(その他表記)Egretta sacra; Pacific reef heron

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロサギ」の意味・わかりやすい解説

クロサギ
Egretta sacra; Pacific reef heron

ペリカン目サギ科。全長 57~66cm。黒色型と白色型とがある。黒色型は全身ほぼ黒色で,短い冠羽(→羽冠)があり,は紫褐色,脚は緑褐色。白色型は全身白色で,嘴は黄色。岩礁やその近くの海岸に生息し,水辺に立って魚類などをとって生活する。白色型はじっと待ち伏せて,黒色型は歩きまわって獲物をとることが多い。温帯地域の東アジアから熱帯東南アジア,南太平洋の諸島,さらにオーストラリアニュージーランドにかけての沿岸域に分布し,日本では本州以南に分布している。白色型は熱帯地域に多い傾向があり,黒と白のまったく羽色の異なる型の個体が,ごく普通につがいになって繁殖している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロサギ」の意味・わかりやすい解説

クロサギ(海水魚)
くろさぎ / 黒鷺
[学] Gerres oyena

硬骨魚綱スズキ目クロサギ科に属する海水魚。本州中部以南、西太平洋およびインド洋海域などに分布し、内湾の砂底に生息する。アマギともよばれる。体は長楕円(ちょうだえん)形で、側扁(そくへん)する。口は小さく、著しく伸出させることができる。体は銀白色で、背側は灰青色、背びれ棘(きょく)部の外縁は黒色。背びれの棘条は11個である。近縁種にダイミョウサギG. japonicusがあるが、背びれの棘条が10個であることでクロサギと区別される。全長20センチメートルぐらい。シロギスに混じって釣れることがよくある。塩焼き、吸い物などにされる。

[谷口順彦]


クロサギ(鳥)
くろさぎ / 黒鷺
eastern reef heron
[学] Egretta sacra

鳥綱コウノトリ目サギ科の鳥。全長約65センチメートル。全身煤(すす)けた黒色のもの(黒色型)と、全身白色のもの(白色型)とがあるが、多少とも黒白羽毛の混じった中間型も少なくない。アジアの東・南部からオーストラリア、ニュージーランド、ポリネシアまで分布。日本では本州以南の暖地の海岸に留鳥として生息し、とくに琉球(りゅうきゅう)諸島には多い。単独かつがいですみ、岩礁やサンゴ礁を歩きながら小魚、カニ、貝類などを捕食。海岸の岩のすきまや岩棚の上に巣をつくり繁殖する。

[森岡弘之]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「クロサギ」の解説

クロサギ

①黒丸作画、夏原武原案による漫画作品。詐欺師を騙し返す「クロサギ」の青年を描くサスペンスストーリー。『週刊ヤングサンデー』2003年~2008年連載。小学館ヤングサンデーコミックス全20巻。第53回(2007年度)小学館漫画賞 一般向け部門受賞。続編に「新クロサギ」(2008年~2012年)、「新クロサギ完結編」(2012年~2013年)がある。
②①を原作とする日本のテレビドラマ。放映はTBS系列(2006年4月~6月)。全11回。脚本:篠崎絵里子。音楽:山下康介。出演:山下智久、堀北真希、加藤浩次、哀川翔ほか。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のクロサギの言及

【サギ(鷺)】より

…羽色は種によって異なるが,多くの種では背や胸に飾羽があり,また後頭に冠羽をもつものも少なくない。クロサギEgretta sacraやアカゲサギE.rufescensでは,通常の羽色のほかに全身白色の白色型が知られている。粉綿羽(ふんめんう)はすべてのサギ類に存在している。…

※「クロサギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android