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クロノメーター chronometer

翻訳|chronometer

デジタル大辞泉の解説

クロノメーター(chronometer)

精度の高い携帯用の機械時計。天体観測・経度測定などに用いる。時辰儀経線儀
スイスの検定協会の検定に合格した、精度の高い機械時計に与えられる名称。

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百科事典マイペディアの解説

クロノメーター

一般には高精度の機械時計をさすが,海上で船の位置とくに経度を測定するためのものをいうことが多い。経線儀,時辰儀ともいう。船上での経度測定のために必要な正確な時刻を得るために開発されたぜんまい時計で,温度変化や船の動揺にも影響を受けにくく,ぜんまいの動力一定にする装置を備えている。
→関連項目懐中時計航海計器

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世界大百科事典 第2版の解説

クロノメーター【chronometer】

経線儀,時辰儀ともいう。海上で船の位置,とくに経度を測定するためには正確な時刻が必要なことから発達した高精度の機械式ぜんまい時計。一般の時計と異なる点としては,ぜんまいの動力を一定にする装置をもつこと,ぜんまいを巻き上げるときにも動力を保持する機構を備えていること,温度が変化しても振動周期を一定に保つてんぷを用いていること,時計の機械部分が,船が動揺しても水平の姿勢を保つようになっていることなどがあげられる。

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大辞林 第三版の解説

クロノメーター【chronometer】

天文観測・経緯度観測・航海などに用いる、精度の高い携帯用のぜんまい時計。現在では水晶の固有発振を利用したものが使われている。時辰儀。経線儀。
国際的に公認された機関の検定に合格した高精度の時計に与えられる名称。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クロノメーター
くろのめーたー
chronometer

広くは精度の高い時計のことをいうが、とくに天文航海術においては正確な時刻を知るための重要な航海計器の一つのことをいう。マリンクロノメーターあるいは、時辰儀(じしんぎ)、経線儀などともいう。現在、日本では水晶式電子時計や電波時計が船舶用としても普及したため、ほとんどこれにとってかわられたが、歴史的にいえば長期にわたって世界的に広く用いられていた。[茂在寅男・元持邦之]

マリンクロノメーター

昔から北極星、または子午線上の太陽の高度を測って緯度を求める初歩的天文航法は広く用いられた。しかし、東または西に向かって天体の高度を測り経度を求めるためには、その天体が時とともに東から西へと運動を続けているので、正確な時計が必要とされた。イギリスは1714年に賞金2万ポンドをかけて、正確な時計の出現を促した。これに応じてハリソンJohn Harrison(1693―1776)は、1735年にクロノメーター第1号を製作し、1761年には1等賞の条件を完全に満たす精度のクロノメーター第4号を製作して賞金を獲得した。これは156日の航海で54秒の誤差という好成績であった。その特徴は、基本的にぜんまい時計であるが、ねじを巻く間も運転が持続し、温度の変化に対しても遅速を生ずることなく、ぜんまいが緩んできても時計の回転力が一定になる装置などを内蔵している点にある。その後研究、改良が進み、19世紀初めにはマリンクロノメーターは、ほぼ完成された可搬の高精度時計となった。
 しかし21世紀の現時点では、航空機や船舶の位置決定には電波航法計器類(ディファレンシャル世界衛星航法システム=DGNSSやディファレンシャル全地球測位システム=DGPS、その他の電波航法衛星システム)も使われており、正確な時刻については標準時に対して毎時間自動整合を行い、標準時との時間差はつねに数ミリ秒以下を保つというような電波時計が普及しており、上記のクロノメーターの時代は終わったといえよう。[茂在寅男・元持邦之]

国際クロノメーター検定協会

いまでは歴史的な話となったが、19世紀の初めごろから、ヨーロッパのいくつかの天文台は時計の精度検定や精度コンクールを始め、製造者は製品を天文台に提出するのが習慣となった。マリンクロノメーターの特徴は、デテント脱進機を備え、非常に正確であるということであったが、19世紀後半に、その後広く用いられるようになったレバー脱進機を用いて高精度の時計がつくられるようになり、クロノメーターの定義は不明確となり、ときには乱用された。1952年スイスのスピーツで開かれたクロノメーター検定作業委員会で、クロノメーターはマリンクロノメーターであると固執するイギリスを除き、フランスとスイスは高精度時計に結び付いたこの名称を擁護するため、クロノメーターと表示できる時計は、国際的に公認された機関で所定の試験に合格し公認の歩度証明書をもつものと決めた。この後、委員会は国際クロノメーター検定協会となり、ドイツ、イタリア、そして1970年(昭和45)には日本も加盟した。機械の大きさ、調速機の種類、用途によって、腕時計、懐中時計、マリンクロノメーターなどに分類され、それぞれの公認検定所の定める基準値で検定されていた。このうち機械式腕時計だけは国際標準化機構(ISO)で統一された基準値によった。
 しかし、機械時計に比べきわめて高精度な水晶時計の急速な普及によってクロノメーターの称号に対する魅力は失われ、日本の退会(1983)とともにこの協会はその活動を停止した。[茂在寅男・元持邦之]
『茂在寅男編『航海計器研究ノート 第1集』(1966・舟艇協会出版部) ▽バイリ、クラトン、イルバート著、大西平三訳『図説時計大鑑』(1980・雄山閣出版) ▽織田一朗著『歴史の陰に時計あり!!――時計で世界の出来事をウオッチング』(1998・グリーンアロー出版社)』

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