「よいデザイン」を選び、顕彰することを通じ、暮らしや産業、さらに社会全体をより豊かなものへと導くことを目的とする賞。日本の日用品や家電、自動車などのインダストリアル・デザイン、住宅や建築物、ビジネスモデル、ソフトウェア、地域づくりのコミュニケーションなど、あらゆる領域の優れたデザインに与えられる。公益財団法人日本デザイン振興会が主催。受賞したデザインにはGマークをつけることが認められる。毎年、数千件の応募のなかから、70名あまりの専門家の投票により、1000件前後を選定し、表彰している。さらに、グッドデザイン賞対象から特別賞が選ばれる。特別賞には、もっとも優れたデザインに贈られるグッドデザイン大賞、時代的な課題を解決した質の高いデザインに贈られるグッドデザイン金賞のほか、ものづくりデザイン賞、地域づくりデザイン賞、未来づくりデザイン賞がある。また、一般などから推薦された候補のなかから、長年にわたり愛され、支持されてきた優れたデザインにロングライフデザイン賞が与えられる。なお、Gマークは、グラフィックデザイナーの亀倉雄策(かめくらゆうさく)によってデザインされたものである。
グッドデザイン賞は、日本独自のデザインを推奨するため、1957年(昭和32)に通商産業省(現、経済産業省)が創設したグッドデザイン商品選定制度(通称、Gマーク制度)に基づく顕彰に始まる。以降、1998年(平成10)に行政改革の一環として運営が民営化され、現在の名称に変更された。2012年(平成24)までの55年間で、受賞は約4万件に上っている。これまでの受賞作には、東芝の電気釜RC-10K(1958年受賞)、ソニーのテレビKV-1375(1977年受賞)、1961年発売のキッコーマンしょうゆのしょうゆ卓上びん(1993年受賞)、テルモのインスリン用注射針ナノパス33(2005年受賞)などがある。1990年代以降は、使用者との対話があるインタラクションデザイン、使用時に差別のないユニバーサルデザイン、地球環境を考慮したエコロジーデザインが積極的に評価されてきた。2014年には広島県と愛媛県が共同開催する観光振興イベント「瀬戸内しまのわ2014」、東日本大震災の津波による甚大な被害を受けた陸前高田市(岩手県)での、津波の到達地点に桜を植樹し、後世に伝承しようとするまちづくりの特定非営利活動法人「桜ライン311」などが受賞した。いわゆる「社会のデザイン」が評価の対象とされており、デザインというものの審査基準の移り変わりを示している。
[編集部]
(2012-10-04)
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