グナイスト(読み)ぐないすと(その他表記)Heinrich Rudolf Hermann Friedrich von Gneist

デジタル大辞泉 「グナイスト」の意味・読み・例文・類語

グナイスト(Rudolf von Gneist)

[1816~1895]ドイツの法学者・政治家イギリス憲政史の研究家で、ドイツ立憲君主制確立貢献明治憲法制定の際、渡欧した伊藤博文らに憲法学行政学を講じた。

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精選版 日本国語大辞典 「グナイスト」の意味・読み・例文・類語

グナイスト

  1. ( Rudolf von Gneist ルドルフ=フォン━ ) ドイツの法学者、政治家。イギリスの憲法、また行政法を研究し、ドイツ法体系を整備した。明治一五年(一八八二)、憲法調査で渡欧した伊藤博文らに憲法および行政学を講じ、これが明治憲法に採り入れられたことでも知られる。主著「現代イギリス憲法および行政法」。(一八一六‐九五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グナイスト」の意味・わかりやすい解説

グナイスト
ぐないすと
Heinrich Rudolf Hermann Friedrich von Gneist
(1816―1895)

ドイツの法学者。8月13日ベルリンに生まれる。ベルリン大学に学んだのち、1858年より同大学ローマ法教授。その間地方裁判所裁判官(1836~1850)、下院議員(1858~1893)、帝国議会議員(1868~1884)、最高裁判所裁判官(1875~1877)を務めた。政治的には国民自由党の闘士として憲法制定問題に活躍し、彼の『現代英国憲法および行政法』全2巻(1857、1860)はとくに名声を博した。伊藤博文(ひろぶみ)らが憲法調査のため渡欧した際には、約6か月にわたって伊藤らに憲法の講義を行い、憲法政治の利害を教授した。その内容は『西哲夢物語』のなかに「グナイスト氏談話」として伝えられている。伊藤が大日本帝国憲法制定の際にとった、欽定(きんてい)主義、行政権の強化、起草の秘密主義は、グナイストの教えによるものであり、グナイストは明治政府の法律顧問となった教え子モッセ通じて、間接的に憲法起草に大きな影響を与えた。晩年には、フリードリヒ3世の皇子に憲法の講義もしている。

[佐藤篤士]

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改訂新版 世界大百科事典 「グナイスト」の意味・わかりやすい解説

グナイスト
Rudolf von Gneist
生没年:1816-95

ドイツの法学者,政治家。ベルリン生れ。ベルリン大学でサビニーの影響を受ける。イタリア,フランス,イギリスの憲政の実情を研究し,帰国後裁判官,1845年よりベルリン大学教授(ローマ法)。イギリス地方自治制の研究を通じて,議会制の基礎をなす地方名望家層の重要性を強調,また行政裁判所を基軸とする法治国論を唱えた。政治家としては国民自由党に属し,58年よりプロイセン議会,68年より帝国下院議員として,多くの立法に関与。L.vonシュタインの影響下で,講壇社会主義に近い社会政策の立場に立って労働者福祉協会,社会政策連盟の会長を務めた。また反ユダヤ主義反対連盟の発起人の一人。ウィルヘルム1世,ビスマルク,とくにオイレンブルク内相らの信任厚く,ウィルヘルム2世に憲法を講じた。1882年憲法調査のため渡独した伊藤博文一行に憲法を講じ,弟子のA.モッセを日本に派遣した。85年にベルリンを訪れた伏見宮貞愛親王に対する講義の聴講録《西哲夢物語》はグナイストの伊藤らへの助言の内容を知る参考資料である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グナイスト」の意味・わかりやすい解説

グナイスト
Gneist, Rudolf von

[生]1816.8.13. ベルリン
[没]1895.7.22. ベルリン
ドイツの法律家,政治家。ベルリン大学で法律を学び,F.K.サビニーの歴史法学,ヘーゲルの哲学,L.vonシュタインの社会学の影響を受けた。 1845年ベルリン大学教授,59~93年プロイセン下院議員,67~84年ドイツ帝国議会議員,75年最高裁判所判事。プロイセン下院では憲法鬪争期に中央党左派に属して野党のリーダーとして,帝国議会では国民自由党左派として活躍した。彼は労働階級福祉増進中央協議会,社会政策学会の共同創立者かつ初代議長,反ユダヤ主義防衛協会の創立者の一人であった。イギリスの憲法,行政制度に深く通じ,その造詣によってプロイセンの立憲制,地方自治制の改革に貢献した。また憲法調査のために 82年に渡欧した伊藤博文を通じて,明治憲法,日本公法学にも影響を与えた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「グナイスト」の解説

グナイスト Gneist, Heinrich Rudolf Hermann Friedrich von

1816-1895 ドイツの法学者,政治家。
1816年8月13日生まれ。ベルリン大教授,ドイツ帝国議会議員。明治15年(1882)渡欧した伊藤博文らに憲法について教授して君主制・行政権強化の理論を説き,明治政府顧問に門弟のモッセを推薦,のちの明治憲法に影響をおよぼした。1895年7月22日死去。78歳。ベルリン出身。ベルリン大卒。

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百科事典マイペディア 「グナイスト」の意味・わかりやすい解説

グナイスト

ドイツの公法学者,政治家。裁判官,ベルリン大学教授,帝国議会議員を歴任した。英国憲政史の研究で有名。伊藤博文が憲政調査に渡欧の際に師事した。その門人モッセは来日して明治の立憲制度確立に指導的役割を果たした。主著《現代英国憲法および行政法》《英国憲法史》。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「グナイスト」の解説

グナイスト
Heinrich Rudolf Hermann Friedrich von Gneist

1816.8.13~95.7.22

ドイツの公法学者・政治家。ベルリン大学に学び,1844年から没するまで同大学教授。ドイツ行政法学を確立。プロイセン下院議員・ドイツ帝国議会議員を歴任。憲法調査に訪れた伊藤博文や伏見宮貞愛(さだなる)親王らに,君権強化や地方自治の等級選挙制などについて助言した。弟子にA.モッセがいる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「グナイスト」の解説

グナイスト
Rudolf von Gneist

1816〜95
ドイツの公法学者
ベルリン大学教授。1882年憲法調査のため渡欧した伊藤博文に憲法理論や憲政の運用について講義し,弟子のモッセを推薦。大日本帝国憲法制定に多大な影響を与えた。

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367日誕生日大事典 「グナイスト」の解説

グナイスト

生年月日:1816年8月13日
ドイツの法学者,政治家
1895年没

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世界大百科事典(旧版)内のグナイストの言及

【ドイツ】より

…明治維新政府は〈富国強兵〉の名のもとに,近代国家の建設に努めたが,そのモデルとしては,はじめイギリスが考えられたが,明治14年(1881)の政変以後,伊藤博文らの主張するプロイセン・ドイツ型の国家がその模範となった。伊藤は翌年ヨーロッパ各国の憲法制度調査のため渡欧し,主としてベルリン大学のグナイスト,モッセ,ウィーン大学のL.vonシュタインのもとで研究を進め,また1878年から15年間にわたって日本政府の法律顧問として滞在したレースラーの協力もあって,ドイツ帝国に範をとった明治憲法および国家体制が整えられた(法典編纂)。兵制に関しては,1870年には海軍はイギリス式,陸軍はフランス式の方針であった。…

※「グナイスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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