配偶者や子供、親などの家族、親しい友人などと死別した人が陥る、複雑な情緒的状態を分かち合い、深い悲しみから精神的に立ち直り、社会に適応できるように支援することをいう。グリーフgriefは深い悲しみや悲嘆を意味する英語で、悲嘆ケアや遺族ケア(bereavement care)ともよぶ。落胆や絶望体験を伴う遺族などのグリーフには、多くの場合、ショック期、喪失期、閉じこもり期、再生期という回復までの段階があり、この過程をグリーフワークgrief workやモーニングmourning(服喪)ワークという。このような精神状態は正常な心理反応であり、自然に回復する過程をとるが、これが抑圧されるなど正常に行われないと、病的悲嘆という、精神や身体的な疾患を伴って長期化することがある。
日本では2005年(平成17)4月25日に起こった西日本旅客鉄道の福知山線脱線事故を機に、グリーフケアが一般に知られるようになった。事故の遺族に対する継続的な取り組みの一環として、2009年聖トマス大学(兵庫県尼崎市)に日本初のグリーフケア専門の教育研究機関、グリーフケア研究所が、JR西日本あんしん社会財団の寄付により設立された。同研究所は2010年に上智大学(東京都千代田区)に移管された(研究所の所在地は大阪市北区の上智大学大阪サテライトキャンパス内)。
アメリカやイギリスでは、患者をみとった病院に遺族が死後も定期的に通い、現状に沿って医師やグリーフアドバイザーから助言を受けることが浸透している。日本では長い間にわたり、近親者や近隣住民との密着した人間関係、仏教の存在などによって悲嘆が癒やされてきたと考えられるが、このような慣習が急速に薄れ、核家族化や都市化が進んでいる現代では、悲しみに寄り添う存在や代替となるケアが求められている。
[編集部]
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