改訂新版 世界大百科事典 「ケイ線石」の意味・わかりやすい解説
ケイ(珪)線石 (けいせんせき)
sillimanite
化学組成はAl2SiO5。斜方晶系に属し,c軸に伸長した繊維状あるいは柱状結晶をなす鉱物。白色~帯黄ないし帯緑白色を呈し,ガラス光沢,絹糸光沢をもつ。比重3.25,モース硬度7.5。{010}にへき開が完全。紅柱石,ラン晶石と多形の関係にある。紅柱石よりも高温高圧側に,ラン晶石よりも高圧側に安定領域をもち,泥質岩起源の高度変成岩の造岩鉱物として普通に産出する。日本では領家変成帯の片麻岩によく見いだされる。紅柱石,ラン晶石同様に,変成作用の温度・圧力条件を知るための手がかりとなる。高級セラミックス原料として採掘利用される。紅柱石,ラン晶石に比べると,量的にまとまっていることが少ないが,インドで含有量85%に達するケイ線石岩が大量に採掘され,輸出されている。
執筆者:青木 正博
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