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ケルト美術 ケルトびじゅつCeltic art

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ケルト美術
ケルトびじゅつ
Celtic art

前6世紀頃から後3世紀頃までのケルト人の美術。ケルト美術はおよそ,ラ・テーヌ期 (前6世紀~後1世紀) とガリア・ローマ時代に分けられる。ラ・テーヌ期には大建造物はなく,彫像や絵画にも遺例が少く,むしろ工芸品や宝飾品にすぐれたものが多い。初めは左右相称の文様や形態をもつものを多く制作していたが,エトルリアやギリシアの陶器,金属器なども輸入して,粒金細工や打出し人物・動物行列文の金工などによくその影響の跡をみせている。しかしまもなく文様や細部の表現に左右相称の形式がくずれ,S字流線文や渦文が使われるようになり,ケルト人独自の様式が濃厚に表出してくる。また中央アジアや南ロシアの遊牧民の影響を受けて騎馬文化を受入れ,スキタイ風の動物文や馬具を採用した。前 400年頃からケルト人はヨーロッパ全域,小アジアやスラブ圏にまで大移動したために,ギリシア,ローマの影響を再び強く受け,ことに南ヨーロッパにおいては建築物や彫刻にローマの影響が直接に表われたものが出土している。ガリア・ローマ時代になると,カエサルやアウグスツスによって徹底的に征服されて,ケルト人はほとんどローマ化した。しかしその伝統はブリテン島のケルト人や,スカンジナビアのバイキングの美術に受継がれた。たとえば,衣服では匈奴の侵入以来乗馬服のズボンと胴着がケルト人の間で採用されたが,古来のマントとそれを留めるピンとともに,今日にいたるまでヨーロッパ文化のなかで長い伝統を残している。代表的なケルト美術の遺例に,ボヘミアのノベシトラシェチ出土の石造男子像頭部,デンマークのユトラント出土の人物,動物レリーフ文装飾銀製大鍋類,フランスのビクス出土のケルト貴婦人青銅像,戦士行列文青銅瓶,スイスのベルン地方出土の青銅動物文壺,イギリスのマンチェスター出土のS字装飾文柄付鏡などがあげられる。多くは中央,北ヨーロッパ各地の歴史考古学博物館に収蔵されている。 (→アイルランド美術 )  

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版の解説

ケルトびじゅつ【ケルト美術】

ケルト美術は,ヨーロッパの第二鉄器時代に当たるラ・テーヌ期(前5~後1世紀)の美術を指し(ラ・テーヌ文化),地域によっては(アイルランドグレート・ブリテン島など),その伝統がさらに8世紀あまり続いた。従来はケルト美術を中部ヨーロッパの第一鉄器文化(いわゆるハルシュタット文化,前12世紀~前6世紀)にまでさかのぼらせていたが,近年はハルシュタット美術とラ・テーヌ美術はごく限定された影響関係(技法,動物主題,陶器などについて)をもつにすぎないとされるようになった。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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