ゲヘナ(その他表記)gehenna

精選版 日本国語大辞典 「ゲヘナ」の意味・読み・例文・類語

ゲヘナ

  1. 〘 名詞 〙 ( Gehenna ) ( エルサレム近くにある、いけにえが捧げられた谷の名から ) 聖書で、地獄のこと。
    1. [初出の実例]「まるでゲヘナの火に逢っているようなたまらないやるせない苦悶が、全身にしびれ渡って来る」(出典:茶色の眼(1949‐50)〈林芙美子〉九)

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改訂新版 世界大百科事典 「ゲヘナ」の意味・わかりやすい解説

ゲヘナ
gehenna

旧約聖書ヨシュア記》18章16節および《列王紀》下23章10節で言及される〈ヒンノム(の子ら)の谷〉のことで,元来エルサレムの城壁の南にある谷をさした。古来ここで幼児犠牲が行われ,また後に町の汚物動物罪人死体が焼却されたことから,死後悪人が罰せられる場所,すなわち〈地獄〉の同義語となった。新約聖書ではすべて地獄の意で用いられ,しかも元来の地名との関連で〈火〉との強い結合を示している。
地獄
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲヘナ」の意味・わかりやすい解説

ゲヘナ
Gehinnon; Gehenna

ヘブライ語で「ベン・ヒンノム (息子) の谷」の意。ユダベニヤミンの地の境界の一つで,エルサレムの南にある谷。王国時代に子供たちを焼いて異教の神バールに燔祭として捧げた場所 (列王紀下 23・10,エレミヤ書7・31) 。預言者エレミヤはこの祭儀を繰返し非難し,この谷は虐殺の谷と呼ばれる日がくると預言した (エレミヤ書 19・5~6) 。ユダヤ教においては比喩的に死後罪人が罰を受ける場所,地獄の名で呼ばれ,新約聖書も同様の意味で用いている。

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世界大百科事典(旧版)内のゲヘナの言及

【地獄】より

…たとえばコリントスの邪悪な王であったシシュフォスが堕(お)ちた世界がそれで,彼は石を山頂まで転がしていく作業を永久に続けなければならなかった。ギリシアではこのような地獄を一般にハデスとよび,神名ともなっているが,のちにキリスト教において発達をみた地獄は,ゲヘナである。また新約聖書にはゲヘナのほかにギリシア以来のハデスの語も用いられているが,これはもっぱら死者の霊の赴くところとされ,ゲヘナが悪しき者に永遠の刑罰を加える場所とされているのと好対照をなしている。…

※「ゲヘナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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