日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
コックス(Richard Cocks)
こっくす
Richard Cocks
(?―1624)
江戸初期の平戸(ひらど)イギリス商館長。東インド会社の株主であるロンドン毛織物業組合の認可を得た商人。1613年(慶長18)同社の貿易船隊司令官ジョン・セーリスに従って来日、その推挙で初代平戸商館長に任命された。当時のイギリス商館はオランダに押されぎみで経営は振るわず、さらに22年(元和8)以後オランダとの政治的対立も加わり、翌23年平戸から撤退、コックスはバタビアに退いた。24年東インド会社から対日貿易失敗と引き揚げ遅延の責任を問われ、本国へ送還される途中、船中で没した。彼の日記は、1615年(元和1)から22年まで現存し、近世初期の対外関係の一級史料となっている。『日本関係海外史料 イギリス商館長日記』(東京大学史料編纂(へんさん)所)に原文編3冊、訳文編2冊、同付録1を収録する。
[沼田 哲]
『武田万里子著『平戸イギリス商館日記』(1981・そしえて)』