改訂新版 世界大百科事典 「コワレフスキー」の意味・わかりやすい解説
コワレフスキー
Maksim Maksimovich Kovalevskii
生没年:1851-1916
ロシアの歴史家,社会学者,民族学者,法学者。1887年モスクワ大学教授の地位を追われ,ヨーロッパの学界で活躍。1905年革命で帰国し,民主改革党を創設。06年以降ペテルブルグ大学教授。コントの実証主義から出発し,メーンの比較史的方法,タルドの心理学,デュルケームの連帯理論等の影響,部分的にはマルクスの影響をも受けながら〈発生論的社会学〉の立場を構築。これに基づき,〈比較史的方法〉を用いてとくに原始家族,家族共同体,村落共同体,国家・法の起源の実証的研究で大きな業績を遺した。《法律学における比較史的方法》(1880)はその方法的核心を述べたもの。《共同体的土地所有,その解体の原因,経過および結果》第1部(1879),《家族および所有の起源と進化の概要》(1890)はマルクス,エンゲルスの古代社会研究とのかかわりで知られる。ほかに《現代民主制の起源》4巻(1895-97),《現代の慣習と古代の法律》2巻(1886),《資本主義経済発生以前のヨーロッパの経済的成長》7巻(1898-1914)など,古代史・中世史研究の大著があり,社会学理論では《社会学》2巻(1910)がある。比較憲法学の著書も多い。
執筆者:藤田 勇
コワレフスキー
Aleksandr Onufrievich Kovalevskii
生没年:1840-1901
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報