コーラ飲料(読み)こーらいんりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーラ飲料」の意味・わかりやすい解説

コーラ飲料
こーらいんりょう

コーラノキ種子コーラナッツ)のエキスを含む特有の風味と色をもつ炭酸飲料。コーラノキはアオギリ科(APG分類:アオイ科)の常緑高木で、西アフリカが原産地。コーラ・ナッツはカフェインを含み、西アフリカでは生(なま)の実を興奮性のある嗜好(しこう)品として用いていた。これがヨーロッパに伝わり、エキスを飲料に用いたのがコーラ飲料の始まりである。

河野友美・山口米子 2020年4月17日]

歴史

コーラ飲料は、イギリスのスコットランド地方で18世紀から19世紀にかけてつくられた記録がある。コーラ飲料として確立させたのは、1886年にアメリカのジョージア州アトランタの薬剤師ジョン・ペンバートンJohn S. Pemberton(1831―1887)が売り出した「コカ・コーラ」が始まりである。独特の商法でアメリカ人の間に普及したが、とくに第二次世界大戦後は世界各国に市場を伸ばし、各地に進出している。日本では大正時代に東京・京橋の明治屋が少量輸入したが、ほとんど売れなかった。第二次大戦後、アメリカ軍とともに日本に上陸し、1957年(昭和32)から製造販売された。1898年にはペプシ・コーラ会社が創立され、コカ・コーラに次ぐコーラ飲料の販売量を誇っている。

[河野友美・山口米子 2020年4月17日]

製法と成分

コーラ飲料は、コカ・コーラの場合、原液を売り利益を得ている。その原液の内容は秘密事項だが、当初はコカノキの葉とコーラノキの種子の抽出液主体であった。甘味料酸味料香料などと、着色にカラメルを加え、二酸化炭素(炭酸ガス)を吹き込んである。

[河野友美・山口米子 2020年4月17日]

『栗原久著『カフェインの科学――コーヒー、茶、チョコレートの薬理作用』(2004・学会出版センター)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「コーラ飲料」の意味・わかりやすい解説

コーラ飲料 (コーラいんりょう)

コーラの種子エキスを含む炭酸飲料。代表的な銘柄にコカ・コーラ,ペプシ・コーラがある。コーラは熱帯アフリカ原産の高木で,種子はカフェインを含む。1886年アメリカのジョージア州アトランタの薬剤師ペンバートンがコカ・コーラを創製,発売した。その後急速に普及し,アメリカの国民飲料とまでいわれるようになった。第2次大戦時にアメリカ軍により世界各地に紹介された。日本には1912年にはすでに輸入されていたようで,同年12月号《白樺》所載の高村光太郎作〈狂者の詩〉に〈コカコオラもう一杯〉と見えるが,大衆化しなかった。戦後になって,1952年にウイン・コーラ,翌53年にミッション・コーラの製造発売をみたが,今日のようなコーラ飲料の普及発展は61年10月の輸入自由化によって口火が切られ,62年10月コカ・コーラのコマーシャル・ソングが電波に乗るに及んで爆発的人気を集め,日本で最も多く消費される炭酸飲料になった。現在のコーラ飲料は,コーラ以外にレモンライムナツメグ,シナモン,カシア,コリアンダー,クローブ,ジンジャーなどを配合した独特の香味をもち,カラメルで着色し,少量のリン酸の添加によってさわやかな酸味をもたせている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「コーラ飲料」の意味・わかりやすい解説

コーラ飲料【コーラいんりょう】

コラナッツの抽出液を基にした清涼飲料。コラナッツは熱帯アフリカ原産のアオギリ科の常緑高木コーラの種子で,茶色で特有の苦味があり,カフェイン,テオブロミンなどを含み興奮剤の効がある。この抽出液に果汁,シロップ,香料,またコカなどを加え熟成し,ふつう炭酸ガスを吹き込む。コカ・コーラが代表的。
→関連項目嗜好作物清涼飲料

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コーラ飲料」の意味・わかりやすい解説

コーラ飲料
コーラいんりょう
cola drinks

南アメリカ産のコカの葉もしくは南アフリカやブラジル産のコーラノキの種子から抽出した液をおもな材料にした清涼飲料。一般にコカコーラやペプシコーラの名でよく知られている。この抽出液を主体に,さらに風味を出すためにレモン油,オレンジ油などを併用する。またカラメルで褐色に着色し,普通,炭酸ガス,砂糖,シロップなどを用いて瓶詰にする。日本で売られているものは調合原液を輸入し,砂糖,カラメルなどを配合して製造したもの。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「コーラ飲料」の解説

コーラ飲料

 コーラ(植物)の種実を抽出したものを主成分として作られる飲料.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android