コールレート

デジタル大辞泉 「コールレート」の意味・読み・例文・類語

コール‐レート(call rate)

コール資金貸借に適用される金利。特に、無担保で借り翌日返す場合の金利を「無担保コールレート(オーバーナイト物)」といい、日銀政策金利として目標を決め、一定水準に誘導する。

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精選版 日本国語大辞典 「コールレート」の意味・読み・例文・類語

コール‐レート

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] call rate ) コール市場における資金の金利。わが国では日歩で表わされ、金融市場繁閑を示す目安ともなる。コール貸借金利率。〔現代術語辞典(1931)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「コールレート」の意味・わかりやすい解説

コール・レート

銀行間どうしの資金過不足の調整の場であるコール市場で成立する貸借(出し手からみた場合コール・ローン,取り手からみた場合コール・マネーという)の金利をいい,刻みは1/16%。通常は資金の出し手(=運用者)の金利で表示されるが,取り手(=調達者)の金利はそれに短資マージンに相当する1/16%を加えたものとなっている(ただし短資業者はコール資金のディーリングを行っているのでこの1/16%は確定マージンではない)。レートの設定に当たっては,かつてとられていた建値制が廃止され,1979年4月以降は日々変動する自由レートとなっており,無条件ものや期日もの(2~7日もの)の種類ごとに,それぞれの期間の需給に応じたレート設定がなされている(具体的には各短資会社が毎営業日の午前9時前後に当日および2~7日先の資金需給や出し手,取り手の需給関係等を勘案してコールの種類ごとにオープニングレートを設定し取引先に連絡)が,こうした出し手,取り手の需給関係には日本銀行金融調節態度が大きく影響することから,レートの動きには日銀の意図が反映されることが多い。すなわち日銀が,コール・マネーの主たる取り手である都市銀行から日銀信用の回収を多めに行い都銀の準備預金の積みを所要より不足気味に運営していけばレートに上昇圧力が働く一方,逆に多めの信用供与を行えばレート下降圧力が働く等である。なお近年企業の外国銀行本邦支店からのスポット借入れ志向の高まり(都銀等への預金協力需要として各四半期の最終月に顕著)に伴う外銀各支店のマネー取入れ需要の増加,および公社債流通金融を媒介としての証券会社のマネー取入れ需要の増加等から,コール・レートと円転換コスト,インパクト・ローン取入れコスト等との金利裁定が強まってきている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コールレート」の意味・わかりやすい解説

コールレート
こーるれーと
call rate

金融機関短期金融市場、とくにインターバンク市場において短期の資金需給を表すコールを互いに貸借する場合の金利。コール資金は要求に応じて安全確実にすばやく回収でき、低利で大口の短期資金である。資金に余裕のある出し手の金融機関が資金を貸付け(コールローン)、資金不足の取り手の金融機関が借入れ(コールマネー)るが、一般に資金の出し手レートで代表される。これに仲介者の短資会社の手数料を加えたものが取り手レートとなる。日本でもっとも歴史のある短期金融市場の代表金利であり、高度成長時代には唯一の自由金利として、金融機関間の資金過不足の調整に大いに貢献した。

 アメリカのフェデラル・ファンド・レートと同様に中央銀行の金融政策の方向性を敏感に反映する政策金利であり、日本銀行は金融調節によって誘導目標に近づける。日本の場合、無担保コールレート(オーバーナイト物=翌日物)が該当し、短期金利の先行指標としての役割を担っている。日本銀行は1999年(平成11)2月から2000年8月まで短資会社の手数料を除くと無担保コールレート(オーバーナイト物)をゼロに抑えるゼロ金利政策を実施したが、その後2008年10月31日にその誘導目標を7年7か月ぶりに年0.5%から0.3%に引き下げ、12月19日にさらに0.1%まで引き下げている。

[金子邦彦]

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百科事典マイペディア 「コールレート」の意味・わかりやすい解説

コール・レート

コールの金利。コールの特色は短期,低利,大口ということで,コール・レートは公定歩合よりも低いのが原則である。コールは金融機関の遊休資金の一時的運用であるから,コール・ローンの増減はそのときの金融の繁閑を如実に示しており,コール・レートは鋭敏にそれを反映する。また,日本銀行は,無担保コール取引の翌日物のコール・レートを金融調節の対象として働きかけ,市場の金利全体に影響を与えている。
→関連項目市中金利

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「コールレート」の解説

コールレート

金融機関同士の短期資金の貸借市場「コール市場」での金利を指す。きわめて短い期間に回収できる、「呼べば応える」貸借市場であることから「コール(call)」の名が付いた。借り手から見たときには「コールマネー(call money)」、貸し手から見たときには「コールローン(call loan)」と呼んでいる。1985年7月から無担保コールが導入され、現在のコール市場の期間は翌日ものから1年ものまで金融機関同士で自由に設定できる。コールレートの刻み幅は当初1%に限られていたが、その後0.01%が追加され、2001年9月からは0.001%に変更されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コールレート」の意味・わかりやすい解説

コールレート
call rate

コール市場で成立する短期資金の貸借利率。コール市場は金融機関相互のごく短期の資金の貸借市場であり,金融の繁閑が最も敏感に反映されやすい。したがってコールレートの動きは金融情勢の動向を判断する重要な指標となる。

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世界大百科事典(旧版)内のコールレートの言及

【金利】より

…この金利を操作することを含めて日本銀行の対民間貸出しを操作することを金利政策,公定歩合政策あるいは貸出政策といい,金融政策の重要な手段となっている。(2)短期市場金利 金融機関が支払準備金の過不足を調整するために短期の資金取引を行う短期資金市場の金利(短期金利)で,コール市場におけるコール・レート,手形売買市場(手形市場)における手形(売買)レートがある。コールおよび手形(売買)市場は金融機関だけが市場に参加しうるインター・バンク市場であるが,ほかに一般の事業会社も参加しうる短期資金市場として現先市場およびCD市場がある。…

【コール市場】より

…日本では,半日ものを除きすべて国債など担保付きの取引である。コール資金の取引に適用される金利をコール・レートといい,短期金融情勢を判断するうえでの重要な指標となっている。コール・レートは,もともと弾力的に動いてきたが,1979年4月出手,取手双方の合意にもとづく建値制(市場参加者にとって均一なレートが前日に明らかにされている制度)が廃止され,金利が完全に自由化されて以降,公定歩合に規定されつつも,その時々の短期金融市場における資金の需給関係をきわめて敏感に反映して動くようになっている。…

【手形売買市場】より

…手形売買市場で形成される金利を手形売買レートというが,手形売買レートも1979年10月建値制が廃止されて金利自由化が完了し,その時々の資金需給を敏感に反映して頻繁な変更をみるようになっている。手形売買レートは,日本銀行が日々の金融調節を通じて金融機関の支払準備の状況を左右しているため,コール・レートと密接な関係がある。ただ,貸借期間がコール資金よりも長いことから,コール・レートより若干高いのが普通である。…

※「コールレート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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