ゴットフリート・フォン・シュトラスブルク(英語表記)Gottfried von Strassburg

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ゴットフリート・フォン・シュトラスブルク
Gottfried von Strassburg

ドイツ中世の叙事詩人。ハルトマン・フォン・アウエウォルフラム・フォン・エシェンバハとともにホーエンシュタウフェン朝の三大宮廷叙事詩人に数えられる。生涯については不明。学識豊かで,古典にも詳しく,1210年頃,ブルターニュのトマの作品を典拠として長編叙事詩『トリスタン』 Tristan (未完) を書いた。のちにこれはウルリヒ・フォン・テュルハイム (1230~35) やハインリヒ・フォン・フライベルク (1300頃) によって完成された。言語的にきわめて洗練され,形式的にも完璧な作品で,対句などの修辞的手法を駆使した華麗明晰な文体は,宮廷文学の頂点を示し,後世に大きな影響を与えた。ほかに,ワルター・フォン・デル・フォーゲルワイデの影響を受けた2編の箴言詩がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ゴットフリート・フォン・シュトラスブルク
ごっとふりーとふぉんしゅとらすぶるく
Gottfried von Straburg
(1170?―1215?)

中世ドイツの叙事詩人。生涯は不詳。市民階級出身で、修道院の付属学校で学び、シュトラスブルクの司教に仕えたといわれる。唯一の作品『トリスタンとイゾルデ』(1205~15ころ)は、当時流布されていたトリスタン伝説を、ブルターニュのトマの作品(断片のみ残存)をもとにまとめたもの。主人公トリスタンは伯父マルケ王の求婚の使者としてアイルランドに赴き、王女イゾルデを伴っての帰途、船中で誤って媚薬(びやく)を飲み恋に陥る。イゾルデの結婚後も王の目を盗んであいびきを重ね、策を弄(ろう)して王を欺く。事が露見し、追放後は同じ名の白い手のイゾルデと結婚するが、金髪のイゾルデを忘れかね悶々(もんもん)の思いで日を過ごす。ここで作品は未完のままに終わっている。中世ラテン詩学の巧みな修辞法を駆使し、音楽的な響きをもつ洗練されたことばで、愛の殉教者の喜びと苦悩を歌っている。ワーグナーの同名の楽劇はこれを素材としている。[伊東泰治]
『石川敬三訳『トリスタンとイゾルデ』(1976・郁文堂) ▽佐藤輝夫著『トリスタン伝説 流布本系の研究』(1981・中央公論社)』

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