ウォルフラム(その他表記)Wolfram von Eschenbach

デジタル大辞泉 「ウォルフラム」の意味・読み・例文・類語

ウォルフラム(〈ドイツ〉Wolfram)

タングステンのこと。

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精選版 日本国語大辞典 「ウォルフラム」の意味・読み・例文・類語

ウォルフラム

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Wolfram ) =タングステン

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改訂新版 世界大百科事典 「ウォルフラム」の意味・わかりやすい解説

ウォルフラム(エッシェンバハの)
Wolfram von Eschenbach
生没年:1170?-1220か30

ドイツ中世盛期の代表的な宮廷叙事詩人。中部フランケンの小都市アンスバハに近いエッシェンバハ(現,ウォルフラムス・エッシェンバハ)の貧しい家人(ミニステリアーレ)の家に生まれた。領主恩顧を求めて諸国を遍歴し,学芸のパトロンとして多くの詩人を集めていたチューリンゲン方伯ヘルマンの宮廷にも逗留した。この宮廷でウォルフラムの活躍するいわゆる〈ワルトブルクの歌合戦〉は後代詩人の創作であるが,おそらくウォルフラムと中世最大の抒情詩人ワルター・フォン・デル・フォーゲルワイデとの出会いはあったであろう。彼の作品は3編の叙事詩と8編の抒情詩が伝えられるが,代表作《パルチファル》(1200-10ころ成立)は,純粋な愚直者が冒険と過誤を繰り返しながら聖杯王の座にたどりつくまでの精神的発展過程を描いた壮大な騎士叙事詩であり,未完の叙事詩《ウィレハルムWillehalm》(1212-20ころ成立)は方伯ヘルマンの委託によるフランスの武勲詩の自由な翻案で,キリスト教的騎士と異教徒サラセン人とのあいだの戦いを通してキリスト教的寛容博愛と夫婦愛を賛美している。ほぼ成立時期を同じくする断片《ティートゥレルTiturel》は,《パルチファル》の作中人物ジグーネのミンネ(愛)の物語で,英雄叙事詩の詩節(ティートゥレル詩節)の採用が試みられている。抒情詩のうち5編は,恋人の夜明けの別れの嘆きをテーマとするいわゆる〈ターゲリート(きぬぎぬの歌)〉で,恋人たちを見守る夜警の役割が初めて採り入れられている。ウォルフラムはアウエハルトマンシュトラスブルクゴットフリートとともに中世の三大叙事詩人といわれるが,その特徴は両詩人とは対照的である。彼は〈目に一丁字もなし〉と自称するが,その該博な知識からはきわめて強記の人であったことがうかがわれ,そこに伝統的な学識への軽侮がこめられているとも見られよう。奔放な比喩を駆使した表現はしばしば晦渋をきわめる。因襲にとらわれない型破りなところは,おどけたフモール(ユーモア)とともに多分にフランケン気質をあらわしている。ゴットフリートが《トリスタンイゾルデ》のなかで〈奇怪な話をでっちあげる者〉と非難しているが,独創性と思想的豊かさにおいて彼に比肩しうる者はまれである。
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ウォルフラム
Wolfram[ドイツ]

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百科事典マイペディア 「ウォルフラム」の意味・わかりやすい解説

ウォルフラム(エッシェンバハの)【ウォルフラム】

ドイツの中世宮廷叙事詩を代表する詩人。無邪気な自然児が騎士の理想像に成長する苦難の道程をうたった2万5000行の叙事詩《パルチファル》はドイツ教養小説の祖でもある。アウエのハルトマン,シュトラスブルクのゴットフリート(ゴットフリート・フォン・シュトラスブルク)とともに中世ドイツの三大叙事詩人といわれているが,強烈な独創性と豊かな思想で抜きんでている。
→関連項目ミンネゼンガー

ウォルフラム

タングステン

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化学辞典 第2版 「ウォルフラム」の解説

ウォルフラム
ウォルフラム
wolfram

ドイツ語のタングステンの元素名.英語でもwolframを元素名として使ってもよいとされている.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォルフラム」の意味・わかりやすい解説

ウォルフラム
うぉるふらむ

タングステン

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世界大百科事典(旧版)内のウォルフラムの言及

【タングステン】より

…周期表元素記号=W 原子番号=74原子量=183.85±3地殻中の存在度=1.5ppm(52位)安定核種存在比 180W=0.135%,182W=26.4%,183W=14.4%,184W=30.6%,186W=28.4%融点=3387℃ 沸点=5927℃比重=19.3(0℃)電子配置=[Xe]4f145d46s2おもな酸化数=II,IV,V,VI周期表第VIA族に属するクロム族元素の一つ。ウォルフラムともいう。古くスズ鉱の冶金に際してこれが混在すると,多量のスズを奪いとり鉱滓としてしまうことから,むさぼり食うオオカミ,オオカミの出す不潔物という意味で坑夫がWolfrahm(ドイツ語)と呼んで嫌っていた。…

【キリスト教文学】より

…中でも,フランチェスコの特異な人柄,その清貧の教えはその言行を録した《完全の鑑》に現れ,ことにイタリア語をもってした《太陽の歌》の〈いと高く,全能にまし善なる主よ〉は,中世を通じて最も浄(きよ)らかな歌の一つである。国民文学は,その傾向上,世俗文学に流れやすいが,それでも中には〈武勲詩〉中の《アミとアミール》の物語,エッシェンバハのウォルフラムの聖杯探求の物語《パルツィファル》,ことに同じく13世紀初めころアウエのハルトマンの清純な愛と奇跡の物語《哀れなハインリヒ》は,高揚した宗教的雰囲気に包まれている。また〈武勲詩〉中の傑作である《ローランの歌》(11~12世紀初め)も十字軍の理想を掲げ,教会の宣伝である点において,すぐれて宗教的な作品といえよう。…

【ゴットフリート】より

…未完の理由は彼の死とも,詩作上の行詰りとも言われる。彼が作中で暗にウォルフラムのことを〈奇妙な物語の創作者〉などと嘲笑したのに対して,ウォルフラムが《ウィレハルム》の中で〈パルチバルをけなして自分の物語を引き立たせようとする者が多い〉と応酬した話は有名である。ゴットフリートはシュタイナハBligger von Steinachとアウエのハルトマンを詩作上の典範としているが,特に後者の詩文を〈水晶のような言葉〉と賛美している。…

【ワルトブルクの歌合戦】より

…中世後期以来,年代記,聖人伝等に語り継がれ,グリム兄弟の《ドイツ伝説集》にも収録される。R.ワーグナーの楽劇《タンホイザー》によって一般に知られるが,伝説の原型は,ウォルフラムを崇拝する亜流詩人たちによって13世紀中ごろないし後半に作られたと推定される中世ドイツ語の論争詩に由来する。チューリンゲン方伯ヘルマンHermann von Thüringenをたたえる詩人たち(ウォルフラム,ワルター・フォン・デル・フォーゲルワイデ,ラインマルReinmar von Zweter,ビテロルフBiterolf,書記)を相手に,ハインリヒ・フォン・オフターディンゲンがひとりオーストリア公レオポルトを称賛して敗れる前編を〈君主賛美〉,クリングゾルKlingsorのかける宗教上のなぞをウォルフラムが次々と解いて勝利を収める後編を〈なぞかけ〉,両者を合わせて〈ワルトブルクの歌合戦〉と呼ぶが,これは19世紀以降に研究の便宜上つけられた表題である。…

※「ウォルフラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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