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ゴーディマ Gordimer, Nadine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ゴーディマ
Gordimer, Nadine

[生]1923.11.20. 南アフリカ連邦,スプリングス
[没]2014.7.13. 南アフリカ共和国,ヨハネスブルク
南アフリカ共和国の女性作家。白人として,南アフリカ文学界の中心的存在。ユダヤ系移民の子に生まれた。幼少期から健康に恵まれず,11歳で通学と交友を母親に禁じられ,6年間の孤独な少女期に読書と創作にうちこむ。15歳で書いた短編が雑誌に掲載されて注目を浴びた。1945年に 1年間,ウィットウォーターズランド大学に学んだ。1948年,25歳のときにアパルトヘイトを推進する国民党政権が発足すると,以後半世紀をこえる作家活動を通して一貫してアパルトヘイト政策を非難した。作品には,南アフリカ人として,また女性としての自覚が貫かれている。多くの文学サークルの顧問として,非白人作家の育成にも尽力した。1991年,白人の立場から長年にわたってアパルトヘイトに反対してきた良心的な政治思想が評価され,ノーベル文学賞を受賞。短編集『へびのやさしいささやき』The Soft Voice of the Serpent(1952),小説『ブルジョワ世界の終わりに』The Late Bourgeois World(1966),ブッカー賞受賞作『保護管理人』The Conservationist(1974),長編小説『造化の戯れ』A Sport of Nature(1987),『ジャンプ』Jump(1991)など多数。リベラルな政治意識,信念,行動力をもち,女性のセクシュアリティの分析,描写に優れている。一時的に発禁処分を経験した作品も多い。国際ペンクラブの副会長も務めた。2007年レジオン・ドヌール勲章を受章した。(→アフリカ文学

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百科事典マイペディアの解説

ゴーディマ

南アフリカ共和国の白人女性作家。《虚偽の日々》(1953年),《6フィートの国》(1956年),《ブルジョア世界の末期》(1966年),《保護管理人》(1974年),《バーガーの娘》(1979年),短編集《ジャンプ》(1991年)などの作品があり,南アフリカ政府のアパルトヘイト政策を告発した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ゴーディマ
ごーでぃま
Nadine Gordimer
(1923―2014)

南アフリカ共和国の白人女性作家。ヨハネスバーグ近郊の鉱山町スプリングズで生まれ、父はロシア系ユダヤ人で時計屋を営み、のち小規模な宝石商に転業。母はイギリス系ユダヤ人。11歳のとき、虚弱体質のため修道院学校を退学。遊び友だちとの交友も一切禁止され、以後6年間孤独のなか、彼女自身「図書館が私の学校だ」というほど図書館に通い詰め、多感な思春期を読書と創作に明け暮れた。のち第二次世界大戦終了直後、短期間ウィッツウォーターズランド大学の成人学級で学んだのが唯一の学歴。9歳で創作を始め、16歳の処女小説「明日、もう一度いらっしゃい」が時事雑誌『フォーラム』に載り、天才少女として評判をよんだ。以後、ヨハネスバーグに定住し半世紀を超える創作活動を通じて、一貫してアパルトヘイト政策の非人道性を白人の立場から告発し続けた。幼いころはダンサーになることを、のちジャーナリストになることを夢見ていたが、虚弱体質のためあきらめたという。1954年ドイツの財閥でナチス・ドイツに追われたドイツ系ユダヤ人、カッシーラ家の一人と再婚、創作に打ち込む生活基盤が安定した。初期の代表的短編集『ヘビのやさしいささやき』(1952)、『6フィートの国』(1956)では、弱者に愛憐(あいれん)の目を注ぎながら中流白人家庭内での黒人召使いの生き方を描いた。やがて1950年代から白人政府によるアパルトヘイト政策が強化されるにつれてゴーディマは、同じ白人でありながら差別され迫害され続けてきた受難の歴史をもつユダヤ人の家庭に育ったわが身を、人種差別される黒人の身に重ね合わせながら、差別の不条理を作品で告発するようになる。長編小説『虚偽の日々』(1953)、『異邦人たちの世界』(1958)、『ブルジョア世界の末期』(1966)では、差別にあぐらをかきながらも差別する自らの影に脅えているアフリカーナーたち、白人社会の虚偽と偽善を暴き、同時にヨーロッパ・ブルジョア社会の終末を予告している。続くブッカー賞受賞作『保護管理人』(1974)は、南アをもともとの所有者である黒人に返還するよう訴える寓意小説。以後ゴーディマは、黒人の側に身を寄せながら『バーガーの娘』(1979)、『ジュライの一族たち』(1981)を書き、後者は南アが黒人解放勢力の侵入を受け、大混乱に陥るという大胆な舞台設定になっている。そして『造化の戯れ』(1987)では、私たちの住む現実世界の成り立ちそのものを根本的に問い詰める姿勢を鮮明に打ち出している。ほかに長編『国賓』(1971)、『わが息子の物語』(1990)、短編集に『顔を向き合って』(1949)、『戦士の抱擁』(1980)、『外で何かが』(1984)、『ジャンプ』(1991)、評論集に『黒人の心を伝える者たち』(1973)、『本質的な姿勢』(1988)、『書くことと存在すること』(1995)がある。これらの作家活動を通じて、アパルトヘイト法廃棄に向けて大きく貢献した功績が高く評価され、1991年ノーベル文学賞を授与された。また国際ペンクラブ副会長、南アの各種文芸雑誌、文学美術サークルの顧問を務め、1987年には、南アフリカ作家会議の創設を支援、1991年にはゴーディマ短編小説賞を設定するなど、非白人作家の育成に力を尽くした。アパルトヘイト廃棄後も長編小説『われに連れ添う者なし』(1994)、『ハウス・ガン』(1998)を出版。だが、ゴーディマの使命は1991年で終わったとみるべきだろう。[土屋 哲]
『土屋哲訳『現代アフリカの文学』(岩波新書)』

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