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シェル構造 シェルこうぞうshell construction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シェル構造
シェルこうぞう
shell construction

曲面状の形態をもつ貝の (シェル) や卵の殻が比較的薄い構造にもかかわらず,外力に対し強く,こわれにくい性質をもっていることに着目して考案された建築構造の一種。曲面板構造ともいう。その形状を幾何学的に分類して,球形,円筒形,パラボロイド (放物面) 形,ハイパーボリック・パラボロイド (双曲放物面) 形などのシェルと呼ぶ。薄い板に曲率をもたせた曲面板にすると,平らな板よりも強度が増し,支柱なしで長い張間の屋根を作ることができる。アメリカではシアトルのキング・ドーム (鉄筋コンクリートの球形シェル構造) あるいはニューオーリンズのスーパー・ドーム (鉄骨造の球形シェル構造) など,直径 200m程度のシェル構造が建設されている。屋根のほかに水槽,サイロ,クーリング・タワーなどにも用いられる。

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デジタル大辞泉の解説

シェル‐こうぞう〔‐コウザウ〕【シェル構造】

鉄筋コンクリート製などの薄い曲面板を、1枚または数枚組み合わせて空間を覆う建築構造。支点間の距離の大きい屋根に用いる。

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百科事典マイペディアの解説

シェル構造【シェルこうぞう】

殻構造,曲面板構造とも。曲面の薄肉の板で構成した建築構造。シェルは貝殻の意味。卵の殻と同様に曲面内応力の釣合いで支持され,また曲げモーメントが非常に小さいので,大スパンをおおうことが可能。
→関連項目カンデラ

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世界大百科事典 第2版の解説

シェルこうぞう【シェル構造 shell structure】

殻構造,曲面板構造ともいう。薄い曲面板によって構成した構造。シェルとは貝殻の意味であり,貝殻が高い水圧に耐えることができるように,シェル構造はその形態,つまり曲面の曲りぐあいを利用して荷重に抵抗する構造であり,形態抵抗構造の範疇(はんちゆう)に入る。曲面の曲りぐあいは,ガウス曲率,つまり曲面上の点における最大,最小の曲率の積で評価される。このガウス曲率を用いると,シェルの形態は次のように分類することができる。

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大辞林 第三版の解説

シェルこうぞう【シェル構造】

薄い曲面状の板を外殻として用いた構造。外力が面内を流れる力によって伝達されるため、軽くて強い構造物を作ることができる。支柱間の大きい建物の屋根や容器などに用いる。殻構造。曲板構造。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シェル構造
しぇるこうぞう
shell structure

貝殻、卵の殻、食器、容器のように、曲面状の薄い外壁で外力に抵抗して所要の機能を果たすものをシェルといい、シェルの力学的特性を利用した曲面状薄壁構造物をシェル構造という。建築物の屋根用のシェル構造としては、鉄筋コンクリート構造が用いられるほか、曲面板状立体トラス構造とすることも多い。航空機の機体、潜水艇、液体貯槽には金属板製のシェル構造が用いられる。
 図Aには種々の曲面と、その用途を示した。回転曲面は、経線(子午線)という平面曲線を回転軸の周りに回転させたときに描かれる曲面で、ドーム状曲面、円筒面、一葉双曲面、円錐(えんすい)面などがこれに属する。種々の平面曲線を別の平面曲線の方向に、それに沿って平行移動させることによって描かれる曲面を推動曲面という。それを用いたシェル屋根の一例を図A下段右に示した。同一平面上にない一直線と一曲線をガイドとして、図A上段右のように直線を移動させた場合にも、屋根用曲面を構成することができる。図Bのように、ねじれた四角形を辺とする曲面のうちで、Zxycは定数)の式で記述される曲面をハイパボリック・パラボロイド曲面(HP曲面)という。これは、隣接2辺の決定する平面に投象したときに直交するような2群の直線で形成されているとみなせるので線織面(せんしきめん)ともいう。種々の曲面を組み合わせると、図Bの例のように種々の形状のシェル屋根と、変化に富んだきわめてダイナミックな建築空間を構成することができる。
 シェル構造の力学的特性は、その曲面形状、縁梁(ばり)の有無、支持方法によって大きく異なる。図C(2)の球形シェルでは経線方向のアーチ作用と、緯線方向輪状要素のフープ作用の複合によってシェルに加わる荷重が支持される。アーチ作用によって生じる経線方向力と、フープ作用によって輪状要素に生じるフープ力を同図に示した。縁の輪状要素や縁梁は、桶(おけ)や樽(たる)の「たが」の役割を果たす。その引張りフープ力に対しては、緯線方向鉄筋量を多くすることによって対抗する。もしその鉄筋量が不十分であったり、縁梁がない場合には、図C(3)のように縁に沿ってひび割れが生じ、さらに大きな荷重が作用すると、図C(4)の破線に沿って折れ曲がるような曲げ変形が顕著になる。適当な縁梁を設け、シェルの力学的特性を生かした設計をすると、10センチメートル余りの厚さの鉄筋コンクリートシェル構造でも、内部に柱のまったくない、数十メートルの大スパンの建築空間を構成することができる(図C)。その力学的特性を解析する理論をシェル理論といい、構造力学や応用力学の一分野である。[中村恒善]
『Colin Faber Candela/Shell Builder (1963, Reinhold Publishing Corporation,New York) ▽Anton Tedesko Shells 1970‐History and Outlook;Concrete Thin Shells SP‐28 (1971, American Concrete Institute, Detroit)』

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世界大百科事典内のシェル構造の言及

【鉄筋コンクリート造建築】より

…フランスの建築家A.ペレは,1903年パリのフランクリン通りの集合住宅で,陶板で覆われた鉄筋コンクリートの骨組み,大きい窓,屋上テラスなどで外観を構成,鉄筋コンクリートの造形の可能性を示した。彼は23年にはル・ランシの教会で,鉄筋コンクリートの打放し仕上げ,架構の間をうめる色ガラスはめ込みプレキャストコンクリート格子,鉄筋コンクリートシェル構造の屋根などを採用,さらに鉄筋コンクリートの表現可能性を追求した。煉瓦造,石造に比べ壁面に大きい開口部をとることが容易なこの鉄筋コンクリートによる構法は,ガラス工業の発達とあいまって,ガラス張りの明るい室内や1階を吹き放ちにするピロティを可能にし,新しい芸術運動ともからんで,鉄骨造建築とともに近代建築の主流を占めることとなる。…

【屋根】より

ボールトドームは石材で屋根を作るときに,アーチの原理を利用することから発達した屋根形式であり,アラブやヨーロッパのような石造建築の伝統をもつ国では普及しているが,日本ではあまり見られない。シェル構造の屋根は,膜のもつ力学的性質を利用して,薄くて強い屋根を作ろうとするものであり,屋根面自体が自分を支える強度をもっているから,小屋組みが不要になり,体育館や講堂などの大梁間の屋根に使われる。 同じ屋根形式であっても,こう配の大小,破風の大きさ,軒の出の寸法,軒先回りの納め方によって,屋根の印象は大きく異なる。…

※「シェル構造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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