日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンデラ」の意味・わかりやすい解説
カンデラ(光度の単位)
かんでら
candela
光度の単位で、国際単位系(SI)の基本単位。cdで表す。1948年の国際度量衡総会では「圧力10万1325パスカルのもとにおける白金の凝固点にある黒体の、60万分の1平方メートルの平らな表面の垂直方向の光度」と定義されていたが、1979年の同総会で「周波数540テラヘルツ(THz。T:テラはSI接頭語で1012を意味する)の単色放射を放出する光源の、放射強度が683分の1ワット毎ステラジアン(立体角)である方向における光度」と改訂されている。日本では1961年(昭和36)計量法の基本単位となった。カンデラの名は、獣の油でつくったろうそくを意味するラテン語に由来する。また、光度の古い単位として燭(しょく)があるが、これは1.0067カンデラにあたる。
[小泉袈裟勝・今井秀孝]
カンデラ(Felix Candela)
かんでら
Felix Candela
(1910―1997)
スペインに生まれ、メキシコおよびアメリカで活躍した建築構造家。とくに、シェル構造を用いた建築のすぐれた構造デザイナーとして知られた。1935年、マドリード建築学校を卒業後、スペイン内戦に参加。39年投獄されたが、すぐにメキシコへ亡命した。第二次世界大戦後に彼が発表したHP(双曲放物線面)シェルによる建築の構造デザインは、メキシコ・シティの大学都市の宇宙線研究所(1952)、ラ・ビルヘン・ミラグローサ教会堂(1953)などの初期作品を通して、その独創性と美しさが高い評価を受け、世界的に注目された。以後2000棟を超す、住宅、市場、倉庫、工場、博覧会施設、商業施設等を設計し建設した。53年から70年まで、メキシコ国立大学教授。71年、米国に移住し、帰化して、数多くの建築構造に関する計画に参画し、また国内外の多くの大学で教鞭(きょうべん)をとった。
[長谷川堯]