シシュフォス(英語表記)Sisyphos

デジタル大辞泉 「シシュフォス」の意味・読み・例文・類語

シシュフォス(Sisyphos)

ギリシャ神話で、狡猾こうかつコリントスの王。ゼウスの怒りにふれ、死後地獄に落とされて大石山頂まで押し上げる罰を受けたが、大石はあと一息のところで必ず転げ落ちたという。シジフォス。シーシュポス。

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精選版 日本国語大辞典 「シシュフォス」の意味・読み・例文・類語

シシュフォス

  1. ( [ギリシア語] Sisyphos )[ 異表記 ] シジフォス ギリシア神話中の人物の一人。アイオロスの子でコリントを創建したが、ゼウスを欺いたため、その怒りにふれ、死後、地獄で、いつもあと一息のところで落下する大石を永久に山頂に押し上げる刑に処せられた。もっとも悪賢い人間の典型とされている。

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改訂新版 世界大百科事典 「シシュフォス」の意味・わかりやすい解説

シシュフォス
Sisyphos

ギリシア伝説で,最も狡猾(こうかつ)な人間。コリントス市の創建者。死後,地獄に落とされ,大石を山頂に押し上げるよう命じられたが,石はいま一息というところで必ずまた転がり落ちるため,彼は永遠に空しい労苦を繰り返しているという。この有名な話はすでにホメロス叙事詩オデュッセイア》に語られているが,シシュフォスが受けた刑罰の原因に関して後代の神話作者たちは,河神アソポスAsōposの娘の誘拐犯人をゼウスと明かしたことにより,ゼウスの怒りを買って冥府へ送られたシシュフォスが,冥府の王ハデスをまんまとだまし,再び地上に戻って長生きをしたためと説明した。また前4世紀以後の著述家の中には,シシュフォスこそオデュッセウスの真の父親と唱える者があった。今日,彼の名はしばしば,際限のない無益な骨折りの象徴として用いられ,フランスの作家カミュは,人間存在の不条理を指摘した哲学的エッセーに《シジフォスの神話》(1942)の表題を付している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シシュフォス」の意味・わかりやすい解説

シシュフォス
Sisyphos

ギリシア神話の英雄。人間のなかで最も奸智にたけていたとされる。アイオロスの子で,コリントを創建し,その王となったが,ゼウスがアソポス川の娘アイギナをさらったのをみて,父の河神に告げ口したうえに,これを罰しようとしてゼウスが彼のもとに送った死神タナトスを捕え,その解放を強制されて死ななければならないはめに陥っても,冥府でハデスをだまし,また地上に帰り長生きしてしまうなど,生前に神々を愚弄し続けたため,死後冥府で,頂上に着くとまた転がり落ちてくる岩を何度でも山の上に押上げる苦役に服すことになった。一伝によれば,彼は,オデュッセウスの母アンチクレイアが,ラエルテスと結婚する前に彼女と通じていたので,知恵者として名高いオデュッセウスの実の父にほかならないという。

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百科事典マイペディア 「シシュフォス」の意味・わかりやすい解説

シシュフォス

ギリシア伝説のコリントス王。人間のうちで最もずるいといわれ,神ゼウスをすら欺いた。そのため神罰を受け,冥府では岩を山の上に押し上げる仕事を命じられたが,岩は山頂に達するたびにころげ落ち,未来永劫(えいごう)に呻吟(しんぎん)することになる。A.カミュのエッセーの表題(《シジフォスの神話》)はこの人物に由来する。
→関連項目ベレロフォン

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世界大百科事典(旧版)内のシシュフォスの言及

【地獄】より

…そして最後の段階が,罪を犯した人間に罰と浄化を課する地獄である。たとえばコリントスの邪悪な王であったシシュフォスが堕(お)ちた世界がそれで,彼は石を山頂まで転がしていく作業を永久に続けなければならなかった。ギリシアではこのような地獄を一般にハデスとよび,神名ともなっているが,のちにキリスト教において発達をみた地獄は,ゲヘナである。…

【タナトス】より

…ホメロスではヒュプノス(〈眠り〉)の兄弟,ヘシオドスではニュクス(〈夜〉)の子とされるが,いずれも抽象的な存在にとどまる。人格神としての彼は,英雄ヘラクレスがタナトスと格闘してアルケスティスを救うエウリピデスの悲劇《アルケスティス》や,シシュフォスにより河神アソポスの娘の誘拐犯人と暴露されて怒ったゼウスが,シシュフォスのもとへタナトスを遣わしたところ,狡猾なシシュフォスはタナトスをだまして縛り上げたため,軍神アレスがそのいましめを解くまで,しばらく死者が出なかったという前5世紀の作家フリュニコスの伝える話などに見いだされる。【水谷 智洋】。…

※「シシュフォス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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