改訂新版 世界大百科事典 「シャク」の意味・わかりやすい解説
シャク
chervil
Anthriscus sylvestris(L.)Hoffm.ssp.aemula (Woron.) Kitamura
山の谷間に生えるセリ科の多年草。地中にはやや肥大した根茎がある。根出葉は3回羽状に細かく分かれ,軟らかく,葉の裏の脈上にはまばらに毛がある。茎は直立して分枝し,高さ1m内外になる。葉は茎の上部にいくにしたがい小型になり,葉柄は鞘(さや)状になって茎を抱く。花は白色で小さく,5~6月ころ,枝先に複散形花序を作って多数つく。花序の中には雄花と雌花があり,雌花は花がすむと大きく子房がふくらみ,長さ6~8mmの披針形の果実となり,熟すと黒くなって二つの分果に分かれる。日本全土,朝鮮,中国,サハリン,カムチャツカ,シベリアから東ヨーロッパにまで広く分布する。果実の表面にとげ状の突起があるものをオニジャクvar.hirtifructus(Ohwi)Haraという。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報