シロウリ(読み)しろうり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロウリ」の意味・わかりやすい解説

シロウリ
しろうり / 白瓜
[学] Cucumis melo L. var. utilissimus (Roxb.) Duthie et Fuller
Cucumis melo L. var. conomon Makino

ウリ科(APG分類:ウリ科)の一年生つる草。中国またはインド原産で、果菜として栽培される。アオウリツケウリともいう。マクワウリの1変種で、植物体はマクワウリとほとんど同じであるが、もっぱら漬物用とされる。変種名に使われていたconomonは日本語の「香(こう)の物(もの)」に由来する。果実が熟するまでは緑色を保つのでアオウリ(青瓜)ともよばれ、果実が完熟すると白くなるのでシロウリとよばれる。中国古代の越(えつ)地方で古くから栽培されていたので中国名は越瓜で、日本に伝わってのちも越瓜の字をあてている。日本への渡来は古く、『大和本草(やまとほんぞう)』(918)に記載がある。現在栽培される品種には、白瓜、ヘチマ、堅瓜(かたうり)、黒門(くろもん)などがある。果実は円筒形で大きさは品種によりさまざまで、長さ60センチメートル、直径15センチメートルになる大果品種もある。栽培は直播(じかま)き、または苗を仕立てて移植し、地面にはわせてつくる。シロウリは本つるに雌花がつきにくく、子づるか孫づるの第1節に雌花がつくので、本葉4~5枚で摘心し、子づるも8~12葉で摘心して孫づるの第1節に実をつけさせる。青果用や糠(ぬか)漬け用には開花後15~20日の15センチメートルほどの幼果を収穫し、奈良漬け用には果実表面の毛が落ちて、すこし白みを帯びたときに収穫する。

[星川清親 2020年2月17日]

食品

シロウリの主要な用途は漬物用で、奈良漬け、みそ漬け、浅漬けなどにされる。浅漬けには緑色の濃い品種が好まれ、奈良漬けには果肉の厚い大形の品種が適する。果実の芯(しん)をくりぬき、昆布やニンジンなどを詰めて漬け、輪切りにすると、巻きずしのような切り口になる趣向の漬物もある。青果としては、酢の物、和(あ)え物のほか、肉詰めにしてスープ煮やバター煮などにされる。雷干(かみなりぼ)しはシロウリの果実を螺旋(らせん)状に切って干したものである。

[星川清親 2020年2月17日]


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改訂新版 世界大百科事典 「シロウリ」の意味・わかりやすい解説

シロウリ (白瓜)
oriental pickling melon
Cucumis melo L.var.conomon (Thunb.) Makino

ウリ科の一年草。ツケウリとも呼ばれる。メロンの変種で変種名のコーノモンは日本語の香の物からきている。シロウリの名はキュウリに比べて熟しても白みがちであるところからつけられた。メロン類は広く世界各地で栽培されるが,アフリカ原産と推定される栽培メロン類から,アジア南部より東部にかけての地域で分化発達したものがシロウリである。中国では古代から栽培され,果実が漬物に利用された。漢名の〈越瓜〉は地名(越は現在の中国南部)から名づけられた。日本では《本草和名》に〈つのうり〉,《和名抄》に〈しろうり〉の記載がある。つる,葉,花および種子の形状はマクワウリによく類似する。果実は円筒形で平滑無毛。品種により果面に縦じまを生ずる。大きさは400gの小果から2.5kgの大果まである。日本での栽培の歴史は古いが,中国で発達分化したものが導入され,各地に土着して人為淘汰が加えられ,地方品種として成立したものが多い。最近は果皮が淡色で鮮やかなシロウリが好まれ,東京早生,東京大しろうり,沼目などがおもな品種である。栽培はマクワウリと同様4月ごろの播種(はしゆ)によるが,耐暑・耐病性はマクワウリより強い。果実は孫づるに着果するため,親づるは4~5枚の葉を残して芯を摘む。若採り用には開花後15~20日の幼果を,また漬物用には20~30日の果実を収穫する。果実は甘みがなく,酢の物などにも用いるが,多くは漬物とされ,とくに奈良漬には欠くことのできぬ材料である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロウリ」の意味・わかりやすい解説

シロウリ(白瓜)
シロウリ
Cucumis melo var. conomon; Oriental pickling melon

ウリ科の一年生つる草で,熱帯アジア原産。マクワウリ (真桑瓜)の変種とされ,茎や葉もマクワウリによく似ている。果実は長さ 10~20cmで,熟すると緑白色になる。マクワウリのような甘みや香気がなく,果物として生では食べられない。普通はまだ未熟で緑色のうちにとって,ぬか漬や奈良漬などにするのでツケウリ,アサウリの別名もある。地方によりいろいろの品種がある。

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百科事典マイペディア 「シロウリ」の意味・わかりやすい解説

シロウリ

ウリ科の一年生の野菜。マクワウリの一変種で,全体によく似ているが,果実は大きく,長さ20〜30cm,芳香や甘味がない。普通栽培のほか早熟・抑制・促成栽培がある。いずれの場合も孫づるの第1,2節に着果させるようにつるのしんをつむことが重要。浅漬,奈良漬とする。

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栄養・生化学辞典 「シロウリ」の解説

シロウリ

 [Cucumis melo var. conomon].スミレ目ウリ科キュウリ属のつる性一年草.20〜30cmになる.食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のシロウリの言及

【ウリ(瓜)】より

…ウリは広義にはウリ科に属する栽培植物(ウリ類)やその果実の総称であるが,狭義にはマクワウリ(イラスト),メロン(イラスト),シロウリキュウリ(イラスト)などを含むキュウリ属の果実を指す。ウリ類の果実は,多肉・多汁な果肉を有するものが多いので,食用としての利用価値が高い。…

※「シロウリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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