出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
英語のシンパサイザーsympathizerの略で同情者の意。英語のフェロー・トラベラーfellow traveller,ドイツ語のミットロイファーMitläuferも類似の言葉で,この場合の訳語は同伴者あるいは同調者が使われる。共産主義運動の文脈でよく用いられ,その政治活動の支持者ではあるが党員でない者をさす。とくに共産党が〈唯一の前衛政党〉であるという理解が浸透力をもっている時代状況において有意味な言葉である。このような状況下では共産党は党員にしばしば厳格な〈鉄の規律〉をもってのぞみ,またフル・タイムの党活動を求めたので,全体としての運動は少数の党員を中心として支持者が同心円的に分布して存在する様相を呈する。それは入党者のプールとして,非党員大衆との融合帯として,あるいは財政上・活動上の補助者として重要視される。第2次大戦後しばらくの時期の日本のように,共産党の政治的権威が獄中非転向の事実のゆえに高かった場合,こうした分布図はより明確に描かれることになる。その際シンパとして党の側から注目されるのはとくに知識人である。彼らは文化的価値の追求という自己の課題のゆえに,思想的にもまた時間的にもフル・タイムの党活動をちゅうちょしつつ,党に対する心情的支持を送るのである。その存在は有力ではあるが,敵と味方の間で境界線上に位置する。この様相は共産主義勢力が分裂してくるとしだいに輪郭がぼやける。それとともにシンパが文字どおりの語義としてその意味内容を薄めつつ多用される事態となる。
→同伴者文学
執筆者:都築 勉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
シンパサイザーsympathizer(同調者)の略。19世紀初頭に特定の政治的党派に対する同調者をさす語として登場した。その後1920年代ころから各国で革命的前衛政党が結成されると、その政党のイデオロギーや政策に共鳴し、具体的行動にも協力を惜しまないものの、なお党員とは明確に区別される党外協力者をさすようになった。革命政党の純粋性と多数の大衆の組織化という任務との間の矛盾の産物といえる。現在は原義に近い形で用いられる。
[矢澤修次郎]
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新