精選版 日本国語大辞典 「ジュネーブ条約」の意味・読み・例文・類語
ジュネーブ‐じょうやく ‥デウヤク【ジュネーブ条約】
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武力紛争時に敵対行為に直接参加しないか、戦闘外に置かれた者(つまり、傷病者、難船者、捕虜、文民)の保護を目的として、1864年以降ジュネーブで結ばれた諸条約をいう。現在では、1949年8月12日に作成された「戦争犠牲者保護条約」Geneva Conventions for the Protection of War Victimsの4条約を基本とし、同条約に対する77年6月10日の2追加議定書によって補完されている。
ジュネーブ条約は赤十字条約ともよばれ、ナイチンゲールら篤志看護婦のクリミア戦争(1854)における傷病者救護の活動に刺激され、アンリ・デュナンがイタリア統一戦争(1859)の際の救護体験とそれに基づく傷病兵救護策を記述した『ソルフェリーノの思い出』の出版を契機に、ジュネーブ公益協会が各国に呼びかけて創設された国際赤十字の武力紛争時における傷病者救護の精神によって作成された。
最初のジュネーブ条約(赤十字条約)は1864年8月22日に作成され、わが国は1886年(明治19)6月5日に加入した。この条約は陸戦における傷病者救護を目的としたもので、その後、1906年、29年の改正を経て49年の(第1)条約になっている。
1899年7月29日「ジュネーブ条約ノ原則ヲ海戦ニ応用スル条約」が作成されたが、同条約は、1907年の改正を経て49年の(第2)条約となった。
この精神を拡大し、戦闘外に置かれた「俘虜(ふりょ)ノ待遇ニ関スル条約」が1929年7月27日に作成されたが、改正され49年の(第3)条約=捕虜の待遇に関する条約となった。敵国の管轄下に置かれた文民の保護を目的として作成されたものが、49年の(第4)条約である。
わが国は、この4条約に1953年(昭和28)10月21日に加入した。現在、世界のほとんどすべての国が加入している。
締約国は、すべての武力紛争や占領時にこれらの条約を守るべきものとされ、敵国が締約国でなくても、条約の規定を受諾し適用するときは相互に条約に拘束され、内乱などの非国際的武力紛争の場合にも、最小限の規定(共通3条)を守ることが義務づけられている。
追加議定書は、国際的武力紛争と非国際的武力紛争に分け、戦争犠牲者の保護を詳しく定め一般住民の保護、市民防衛、傭兵(ようへい)の不保護に言及している。
[宮崎繁樹]
『藤田久一著『国際人道法』(1980・世界思想社)』
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