スガモ

海藻海草標本図鑑の解説

スガモ

からだは細長い葉と地下茎からなり,主に岩礁域に生育する雌雄異株の多年生の草本であ る。葉は細長く先端は丸みを帯び,5本の葉脈(維管束)が葉の先端から基部まで平行に走っている。葉の縁には顕微鏡的な鋸歯を持つ。茎から柄を出し,その 先に花をつける。葉の表裏には紅無節サンゴモ類のモカサがしばしば着生している。属名のPhyllospadixは男性名詞で,葉の基部に花序が埋まっていることを表すギリシャ語の「phyllon(葉)+spadix(肉穂花序(にくすいかじょ))」に由来する。種小名「iwatensis」は男性形で,「岩手の」の意味で,地名にちなんでいる。同様の形態している海産種子植物の中で,スガモやエビアマモは波の荒い岩礁域に,アマモコアマモは内湾や河口付近の砂泥域に生育している。スガモやエビアマモには葉に顕微鏡的鋸歯が見られるが,アマモやコアマモは見られない。また,スガモに比べエビアマモの,アマモに比べコアマモの葉は細い。

出典 千葉大学海洋バイオシステム研究センター銚子実験場「海藻海草標本図鑑」海藻海草標本図鑑について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

スガモ【Phyllospadix iwatensis Makino】

波の荒い岩礁上の干潮線下から水深数mに生える多年生の海産顕花植物。広義にはヒルムシロ科に属するが,アマモなどとともにアマモ科をつくる考えもある。根茎は短く,多数の根を密生させて岩のくぼみに固着し,根の間に砂を抱いている。葉は細いリボン状で長さ1~1.5m,平行する5脈がある。花期は太平洋岸では3~4月である。特異な形態の花序は短い柄をもち,葉身の短い苞葉の鞘(さや)でつつまれる。花序の軸は扁平で,縁に披針形で長さ約4mmの硬い葯隔付属突起がある。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

スガモ
すがも
[学]Phyllospadix iwatensis Makino

アマモ科(APG分類:アマモ科)の多年草。海岸の岩礁地帯の海中に生える。長さ4~5メートルになる太い匍匐(ほふく)茎を伸ばして広がり群生する。茎の基部には黄褐色の古い葉の繊維が残る。節ごとに長さ4センチメートルほどのじょうぶな2本の根を出して岩に固着する。葉は線形で2列互生し、長さ1~1.5メートル、幅3~5ミリメートル、基部に長さ18~26センチメートルの開いた葉鞘(ようしょう)があり、先は円く、上縁に微鋸歯(きょし)があり、5本の平行脈がある。花期は3~4月、肉穂花序につく。雌雄異株。肉穂花序は包葉と合着し、先に細い葉身がある開いた葉鞘に包まれ、広線形で長さ約4センチメートル。雄花序は2個の花室に分かれた無柄の雄しべのみからなる雄花が2列に並ぶ。雌花序は1個の仮雄花と1個の雌しべからなる花が2列に並ぶ。果実は黄褐色、倒心臓状矢じり形で長さ約4ミリメートル、球形の1個の種子がある。果実は熟すと黒色となる。本州の千葉県犬吠埼(いぬぼうさき)と秋田県男鹿(おが)半島以北、北海道、千島、樺太(からふと)、中国北部、朝鮮半島に分布する。[大滝末男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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