スケッチブック(読み)すけっちぶっく(英語表記)Sketch Book

デジタル大辞泉 「スケッチブック」の意味・読み・例文・類語

スケッチブック(sketchbook)

スケッチ用の厚紙をとじた帳面。写生帳
[補説]書名別項。→スケッチブック

スケッチブック【The Sketch Book】[書名]

アービングの文集。1820年、ジェフリー=クレヨンの筆名で刊行。34編の短編物語・随筆を収録。

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精選版 日本国語大辞典 「スケッチブック」の意味・読み・例文・類語

スケッチ‐ブック

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] sketchbook ) スケッチ用の厚紙をとじた帳面。写生帳。スケッチ帳。
    1. [初出の実例]「当時スケッチブックに写生し置きたるを、珍らしき風俗なれば、とりいでて」(出典:風俗画報‐二三三号(1901)人事門)
  2. [ 2 ] ( 原題[英語] The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent ) 短編小説・随筆集。ワシントン=アービング作。一八一九~二〇年発表。物語、紀行文、論説、感想の三四編を集成。美しい文体と機知に富んだ構成で、アメリカ短編小説の先駆となる。「リップ・バン・ウィンクル」「スリーピー・ホローの伝説」などが収録されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スケッチブック」の意味・わかりやすい解説

スケッチ・ブック
すけっちぶっく
Sketch Book

アメリカの作家、W・アービングの短編・随筆集。ジェフリー・クレヨンGeoffrey Crayonという筆名で書いた随筆・短編小説など34編を集めた作品で、アメリカでは1819年から1820年にわたって分冊の形で、イギリスでは1820年に1冊の本として出された。数年の間にドイツ語、フランス語にも訳されて、この作品によりアービングはアメリカ最初の国際的な作家となった。収録されたもののほとんどは「ウェストミンスター寺院」「ジョン・ブル」などイギリスの古い伝統をしのんだり、イギリス人の国民性・風俗習慣について、ユーモアを交えたロマンチックな観察だが、うち6編はアメリカを背景にした作品で、「リップ・バン・ウィンクル」「スリーピー・ハローの伝説」などがある。二つとも、ヨーロッパ旅行中に得たライン川地方の民俗伝承をアメリカの風土に取り入れたものである。

 とくに「リップ・バン・ウィンクル」は短編としてのおもしろさから、各国に読者をもち、英語の教科書として広く読まれた。話の粗筋は、ハドソン河畔のオランダ系移民の村にリップ・バン・ウィンクルという、妻に頭のあがらない好人物がいて、ある日、愛犬とともに妻の小言から逃れて山中に入り、奇妙な姿のオランダ人の一団に会う。酒をふるまわれ、すっかり寝込んでしまい、一夜を山中で過ごす。翌日起きて村へ帰ってみると、村はすっかり変わってしまっていて、一夜のうちに20年もたってしまっていた。時代も植民地時代からアメリカは独立国になっていた。うるさい妻もすでに亡く、娘一家と過ごすことになるというものだが、リップは後のアメリカ的人物の典型の一つとなる。筋が「浦島伝説」に似ているので森鴎外(おうがい)が1889年(明治22)「新世界の浦島」として発表して以来、邦訳は10冊を超える。

 アービングのほとんどの作品はヨーロッパの模倣からアメリカ的なものをつくりだそうと模索したものだが、彼の視点はヨーロッパの文化にたってのアメリカ観察で、古い文化に対する懐古趣味もそのためである。しかし、もっとも成功した『スケッチ・ブック』のなかの作品には、当時のアメリカ社会の変容を暗示するとともに、その後のアメリカ短編小説の技法に貢献した点のあることは無視できない。

秋山 健]

『『スケッチ・ブック』(高垣松雄訳・岩波文庫/田部重治訳・角川文庫/吉田甲子太郎訳・新潮文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「スケッチブック」の意味・わかりやすい解説

スケッチ・ブック
The Sketch Book

アメリカの作家W.アービングが紳士ジェフリー・クレーヨンGeoffrey Crayonの筆名で発表した代表作。1819-20年分冊出版。山中で出会ったふしぎな男たちの酒を飲んで眠りこみ,目覚めて家に帰ってみれば20年経っていたという浦島太郎風の《リップ・バン・ウィンクル》や《スリーピー・ホローの伝説》などアメリカを舞台にした物語,インディアンに同情を惜しみなく注ぐ《フィリップ王》,ヨーロッパの綺談《幽霊花婿》,イギリスの印象記《ウェストミンスター・アベー》など,短編,スケッチ34編を収録。出版されるや,典雅な文体,上品なユーモア,ペーソスのため一躍有名となり,アメリカ文学の存在をヨーロッパに認めさせた。日本でも《リップ・バン・ウィンクル》の韻文訳が山田美妙編《新体詞選》(1886)に収められたのをはじめ,数多くの翻訳が出版され,英語の教科書としても明治時代以来親しまれている。
執筆者:

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事典 日本の大学ブランド商品 「スケッチブック」の解説

スケッチブック

[美術]
武蔵野美術大学(東京都小平市)の大学ブランド。
MAUグッズ。用紙40枚の入った上製本。「美」マークと「Musashino Art University」の箔押がある。色は、ブラウンとブルーの2色。価格は、1575円(税込)。武蔵野美術大学出版局取り扱い。
(注)記載内容は事典編集当時(2010年2月)のものです。内容・価格等はその後に変更になった場合もあります。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スケッチブック」の意味・わかりやすい解説

スケッチ・ブック
The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent.

アメリカの作家 W.アービングのスケッチ風物語集。 1819~20年刊。イギリス見聞記を中心に,36編より成る。特にニューヨークを背景とした「リップ・バン・ウィンクル」 Rip Van Winkleや「スリーピー・ホローの伝説」 The Legend of Sleepy Hollowは,最初の近代的短編として知られ,日本でも森鴎外訳などを通じて広く読まれた。

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世界大百科事典(旧版)内のスケッチブックの言及

【リップ・バン・ウィンクル】より

…アメリカの作家W.アービングの《スケッチ・ブック》(1819‐20)に収められた同名の短編の主人公。狩りに出かけたリップはキャッツキル山中で不思議な男たち(イギリス人探検家H.ハドソンとその仲間の幽霊であることがのちにわかる)に出会い,彼らの酒を飲み眠りこむ。…

※「スケッチブック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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