スティール(読み)すてぃーる(その他表記)Clyfford Still

デジタル大辞泉 「スティール」の意味・読み・例文・類語

スティール(steal)

スチール

スティール(steel)

スチール

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スティール」の意味・わかりやすい解説

スティール(Clyfford Still)
すてぃーる
Clyfford Still
(1904―1980)

アメリカの抽象表現主義、カラー・フィールド・ペインティングの画家。ノース・ダコタ州グランディンに生まれ、ボルチモアに没す。スポケーン大学、ワシントン州立大学大学院に学ぶ。1930年代まではヨーロッパの近・現代美術の諸傾向の影響を受けていたが、アメリカ西部の広大な風物を抽象化する絵画を描くにつれて自己の作風の確立に向かう。1940年代の中ごろから大画面に厚塗りで不定形の色面と線を配した作品を制作。それはP・J・ポロック、B・ニューマンロスコと共通する過去の造形を超えた空間を構築し、自然と感情を抽象的に表す内容を有している。代表作に『絵画』(1951年。ニューヨーク近代美術館)がある。

藤枝晃雄


スティール(Sir Richard Steele)
すてぃーる
Sir Richard Steele
(1672―1729)

イギリスのジャーナリスト劇作家アイルランド生まれで、初め軍人であった。その後劇作に転じ、喜劇葬式』(1701)を書いた。1705年の『やさしい夫』は、前代の喜劇と違い、教訓調と感傷的気分を特色とし、いわゆる感傷喜劇の代表とされる。1709年に随筆を主とする新聞『タトラー』を創刊したが、友人アジソンとともに1711年に同じような新聞『スペクテーター』を創刊して有名となった。のちにアジソンと不仲となり、劇評新聞『劇場』を出したり、政治論文も試みた。喜劇『さめたる恋人』(1722)も商人の生き方を表現して有名。

[岡 照雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「スティール」の意味・わかりやすい解説

スティール
Richard Steele
生没年:1672-1729

イギリスのエッセイスト,劇作家,政治家。ダブリン生れ。父親はイギリス系,母親はアイルランド系らしい。オックスフォード大学を中途退学して軍隊に入り,陸軍大尉まで昇進するが,やめて文壇に入る。これまでの自分の生活の反省をこめて教訓的散文《キリスト的英雄》(1701)を執筆。以後風俗の改良を旨として,新しい劇を試みる。《葬式》(1701),《うそつき恋人》(1703),《やさしい夫》(1705)は,当時の下品で放蕩と思われていた劇に対抗して,上品なやさしい感情に訴える特質をもっている。1709年,学校時代の旧友アディソンを誘って週3回の定期刊行物《タトラー》を創刊。その成功に勢いを得て11年に発行した《スペクテーター》も評判となった。続いて刊行した雑誌《ガーディアン》(1713)はホイッグ党色が強く,また彼自身議員(1713-14)として活躍したが,スウィフトらと対立し議席を失った。ジョージ1世の即位(1714)とホイッグ党の政権掌握とともに再び政界入りし,15年にはナイトに叙せられた。22年には劇の代表作《理性的な恋人たち》を発表,やさしい感情を重んじ風俗の改良を目ざした劇の代表的作品として,18世紀を通して人気があった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スティール」の意味・わかりやすい解説

スティール
Steele, Sir Richard

[生]1672.3.12. 〈洗礼〉ダブリン
[没]1729.9.1. カマーザン
イギリスのジャーナリスト,劇作家。オックスフォード大学を出て軍人となり大尉に昇進。王政復古期喜劇の趣向に教訓調を加えた喜劇『やさしい夫』 The Tender Husband (1705) などの戯曲を書き,次いでエッセー新聞『タトラー』 The Tatlerを 1709年に創刊,11年に廃刊,その2ヵ月後友人アディソンと『スペクテーター』 The Spectatorを発刊。これは新興の市民階級の読者を目標に,日常の出来事や演劇,文学,風俗などを取上げて,穏やかな調子で啓蒙的教訓を与えるもので,当時の風俗をよくうかがわせる。また政治評論でも活躍し,国会議員にも当選したが,晩年はアディソンとも仲たがいし,不遇であった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「スティール」の意味・わかりやすい解説

スティール

英国の随筆家,劇作家。《タトラー》紙,《スペクテーター》紙などを創刊し,学友だったアディソンと健筆をふるった。また喜劇でも人気があった。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のスティールの言及

【様式】より

…ギリシア美術についても,ルネサンス美術についても,あるいはセザンヌの作品についても〈古典主義的様式〉が問題となるのはそのためである。 もともと西欧語において,スタイルstyle(英語),シュティールStil(ドイツ語),スティールstyle(フランス語)は,〈鉄筆〉を意味するラテン語stilusに由来し,それゆえに,鉄筆で書かれた文章の表現上の特色,すなわち〈文体〉を意味するようになった。この意味は今日でもまだ生きているが,別の言い方をすれば,〈文体〉とは〈文章の様式〉であるといってもよい。…

【スペクテーター】より

…イギリス18世紀初期の日刊のエッセー・ペーパー。アディソンJoseph AddisonとスティールRichard Steeleが1711年3月1日に創刊した。スティールは,1709年4月12日からアディソン,スウィフトJonathan Swiftら文人の協力をえて《タトラーTatler》(週3回刊)と題する,ビカスタッフIssac Bickerstaffという架空の語り手によるエッセー主体の新聞を出し,大きな成功を収めていた。…

【スペクテーター】より

…イギリス18世紀初期の日刊のエッセー・ペーパー。アディソンJoseph AddisonとスティールRichard Steeleが1711年3月1日に創刊した。スティールは,1709年4月12日からアディソン,スウィフトJonathan Swiftら文人の協力をえて《タトラーTatler》(週3回刊)と題する,ビカスタッフIssac Bickerstaffという架空の語り手によるエッセー主体の新聞を出し,大きな成功を収めていた。…

※「スティール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android