改訂新版 世界大百科事典 「ストロファンツス」の意味・わかりやすい解説
ストロファンツス
Strophanthus
アフリカで矢毒に利用される種を含むキョウチクトウ科キンリュウカ属の低木。つる性となるものが多いが,乳液を有しない。葉は対生で羽状脈を有する。花は頂生の集散花序で5数。花冠は漏斗状あるいは鐘形,色はいろいろで美しい。花冠裂片5枚はねじれ,ひじょうに長い尾状の5本の付属物がある。萼は内面基部に多くの腺を有し,裂片は狭三角形で小型,先端はとがる。おしべは花筒の先端につく。果実は二つの線形の分果からなり,種子は多数で基部に早落性の種髪を有し,頂端に柄状の長い有毛のくちばしがある。アフリカ,マダガスカル,インド,マレー半島に60種を産する。1860年代,D.リビングストンがアフリカ探検のさい,現地人が矢毒に使っているのを見つけている。
インド,マレー半島,ジャワ産のキンリュウカ(金竜花)S.caudatus Kurzは高さ2~6mの半つる性の低木,葉は楕円状長楕円形または楕円状倒卵形で,長さ6~17cmとなる。黄色の花弁が細くねじれていることから名付けられたもので,種子と木部にストロファンチンを含んでいる。
ストロファンチンはステロイド配糖体で強心作用をもつ。また矢毒などとしては,アフリカ産のS.gratus Franch.,S.hispidus DC.,S.preusii Engl.et Pax.,S.sarmentosus DC.,S.kombe Oliverなどが使われ,アジア産のものも有毒植物として有名である。花がきれいなものは栽植される。
執筆者:初島 住彦+新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報