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セクト セクトsect

翻訳|sect

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

セクト
sect

宗教集団の一類型。元来はキリスト教会がその分立集団をさすために用いた呼称であり,分派,宗派と訳されるが,一般的には派閥,党派からクラブにいたるまで,自由な意思によって結成された小単位の集団をいう。セクトの概念規定は M.ウェーバー,E.トレルチなどによって試みられたが,ウェーバーによると,セクトとは社会的には宗教的,倫理的に一定の資格を有する者の結社であるとした。それは形式的合法性と組織的禁欲によってメンバーを統制し規律する倫理的有資格者の自発的結束としての信仰仲間と言い換えてもよい。彼はこのセクト概念を近代資本主義の合理的側面の発展と関連させて,これに積極的評価を与えた。セクトの発展は一面では小規模地域社会を類型的に形成する過程であり,またそうした集団類型の形成を可能にすべく人々を教育的に訓練する過程をも意味した。

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デジタル大辞泉の解説

セクト(sect)

宗教的あるいは思想的に信条や主義を同じくする者の集団。分派。宗派。党派。また特に、新左翼の党派。「セクト間の闘争」「ノンセクト

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大辞林 第三版の解説

セクト【sect】

主に左翼運動で、主張を同じくするものの集団。党派。
宗教で、分派のこと。 → 教団

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

セクト
せくと
sect英語
Sekteドイツ語

一般には、新しく発生した信仰や、従来の信仰に対する新しい解釈を、守りかつ維持する目的で、教祖や分派指導者を中心に自発的に結成された宗教運動をいい、常識として、いわゆる新興宗教や小さな分派がセクトとして扱われる。また世俗的には、政治集団イデオロギー組織として新しく発生した小集団や分離独立した分派を、当の社会の主流をなす諸集団と対置して、セクトとよぶことも多い。宗教的、世俗的のいずれの場合にも、セクトは思想(教学やイデオロギー)上、組織上、まだ未成熟さを残しているが、またそれだけに、当の社会に大きな影響をもつ既成教団や公認教会、あるいは主要思想集団に対して、つねに批判的かつ挑戦的に立ち向かう活力をもつ宗教運動、政治運動である。その意味でセクトは反権力であり、その庶民性を特徴とする場合が多い。
 セクトは、宗教用語としては、とくにキリスト教文明圏において、チャーチ(制度的正統教会)と対比して使用される。この分野ではE・トレルチの研究が有名で、普遍的教会としてのカトリックや、各国の国教会、公認教会のような主流組織をチャーチとし、それに対抗する福音(ふくいん)主義的な分派や新興小会派のように、個々人が信仰に基づいて集まった宗教運動をセクトと定義した。自分たちの主義主張を維持する必要上、セクトは、宗教的、世俗的組織を問わず、つねに伝道や教宣活動に重きを置いている。なかには、宗教改革後の小会派であるメノナイトやバプティスト、あるいは時代は飛ぶが、わが国の新左翼セクトを典型例として、日常の伝道や教宣活動の範囲を超えて良心的徴兵拒否、反戦運動などの過激な反権力活動に走った者もある。[井門富二夫]
『B・ウィルソン著・池田昭訳『セクト その宗教社会学』(1972・平凡社) ▽S・デ・グレージア著、佐藤智雄・池田昭訳『疎外と連帯――宗教的政治的信念体系』(1966・勁草書房)』

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