翻訳|selva
スペイン語またはポルトガル語では大森林のことであるが,植物群落としては,おもにチリ中部以南の森林およびアマゾン川流域の熱帯降雨林をさす。チリの森林は,ほぼ南緯38°から南端のホーン岬にまで広がり,ほぼ南緯48°を境として,北では暖温帯常緑広葉樹林,南では冷温帯夏緑林によって占められている。しかし,プエルト・モント以南では,牧場の造成で,森林が焼き払われているところも少なくない。他方,アマゾン川流域のセルバは常緑広葉樹で,樹種も多く,1km2当り1160種ほども認められている。しかし,ここでは葉がきわめて密に育っている樹冠のため,林床に達する日光が非常に少なく,林床植生もほとんどない。また,高温多湿の環境では有機物の分解も急速であるし,そのうえ強い,多量の雨のため,土壌中の可溶性物質の溶脱も激しいので,土壌中には無機物質も少ないし,腐植も乏しい。ただし,ブラジルではセルバという語はあまり用いられず,マタmata,あるいはフロレスタflorestaが使われる。
→テラ・フィルメ
執筆者:西沢 利栄
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南アメリカのアマゾン川流域およびその周辺の約600万平方キロメートルの地域に分布する熱帯雨林。年じゅう高温で、年降水量が1500~4000ミリメートル、著しい乾期のない地域に発達している。高さ40メートル、ときには60メートルにも達する常緑広葉樹を主体とする密林であるが、つる植物や寄生植物も多い。1ヘクタール当り50~100種類もの大木が混然と生育している。典型的な熱帯雨林はアマゾン川流域に広がる低い台地上にみられ、テラ・フィルメTerra firme林とよばれる。定期的およびほとんど常時冠水する低地の森林は、それぞれバルゼアVárzea林、イガポIgapó林とよばれ、テラ・フィルメ林に比べて樹種が少なく、樹高も低い。
ペルーでは、海岸地方(コスタCosta)、山岳地方(シエラSierra)に対して、この種の森林に覆われたアマゾン川流域の低地地方をセルバとよんでおり、イキトスがその中心都市である。
[松本栄次]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…スペイン人による征服後のインディオ人口の減少は海岸部ではなはだしく,海岸の人びとはほとんどメスティソであり,これがペルー国民文化の中心となっている。モンターニャとさらにその下方にひろがるセルバ(平たんな熱帯雨林)は,アンデス文明の外縁に位置し,まったく異なる文化伝統に属していたが,最近はメスティソや高地インディオが,国家の開発政策にのって多数入りこんで,小規模農業から大規模なプランテーション,牧畜,木材業などの経済的開発に参加している。原住民の数は少ないが,そのような進出により原住民とのあつれきも生じている。…
…また大統領権限の強化,軍の影響力の高まり,司法の独立性の弱さ,長期政権化など,フジモリ政権の民主主義との関係が問われている。【遅野井 茂雄】
【経済】
ペルーは地理的にコスタ(沿岸部),シエラ(山岳部),セルバまたはモンタニャ(森林部)に三分されるが,これは経済上の区分でもある。シエラは先住民人口の多い地域で,1969年の農地改革までアシエンダと呼ばれる大所有地と先住民共有地が並存してきた。…
※「セルバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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