タカネヒカゲ(英語表記)Oeneis norna

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タカネヒカゲ
Oeneis norna

鱗翅目ジャノメチョウ科。前翅長 22mm内外。翅の地色は黄褐色で翅表の斑紋は変異が多い。裏面には細かい複雑な斑紋がある。ジャノメチョウ科 (→ジャノメチョウ ) に特有の眼状紋は黒点として認められるが,不明瞭なものが多い。雄の前翅中室下方には斜向する暗色の発香鱗条があり,これが性標となっている。幼虫はヒメスゲ,イワスゲなどを食べ,1世代に2年を要する。代表的な高山チョウの1種で,飛騨山脈,八ヶ岳の高山帯に産し,それぞれ亜種 O. n. asamanaO. n. sugitaniiという。国外ではユーラシア大陸,北アメリカの北極周縁地域に分布する。近縁のダイセツタカネヒカゲ O. melissaは本種に似るがより暗色で,雄に性標がない。北海道大雪山,日高山脈の高山帯に産し,カムチャツカ半島からアラスカ,カナダ北部に分布する。北海道産は亜種 O. m. daisetsuzanaという。

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百科事典マイペディアの解説

タカネヒカゲ

鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科の1種。ジャノメチョウ科はタテハチョウ科の1亜科とする場合もある。開張48mm内外,暗褐色で外縁の灰黄帯中に黒紋がある。後翅裏面には砂礫(されき)に似た模様がある。日本特産種で,北アルプスと八ヶ岳の標高2000m以上の砂礫地にすみ,晴天時だけ飛び,悪天候時には礫下にもぐる。幼虫はスゲ類を食べ,1世代2ヵ年を要し,成虫は7〜8月に出現。タカネヒカゲ北アルプス亜種は準絶滅危惧,タカネヒカゲ八ヶ岳亜種は絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。北海道大雪山には近縁種のダイセツタカネヒカゲを産する。
→関連項目高山チョウ

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タカネヒカゲ
たかねひかげ / 高嶺日陰蝶
norse grayling
[学]Oeneis norna

昆虫綱鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科に属するチョウ。現在はいちおう標記の種とされているが、この類の分類は不完全で日本産のものは標記の種とは別種である可能性も残されている(別種の場合にはその学名はOeneis asamanaとなる)。本州中部の北アルプスと八ヶ岳(やつがたけ)の高山帯に産するが、本種は日本産チョウ類のなかでもっとも高山性のもので、その分布の下限は標高2500メートルを下ることがない。種nornaはラップランド、アルタイ山脈、タルバガタイ山脈、北アメリカ寒冷地など北極をめぐる地域に分布し、周極種として知られる。はねの開張48ミリメートル内外。成虫の出現期は7~8月(7月下旬ごろが最盛期)、本種は1世代の完了に足掛け3年を要するもので、1年目の冬は3齢(または2齢)幼虫で、2年目の冬は5齢幼虫で越し、3年目に羽化出現する。幼虫の食草はヒメスゲ、イワスゲなどのカヤツリグサ科植物である。[白水 隆]

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