ハイマツ(読み)はいまつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイマツ」の意味・わかりやすい解説

ハイマツ
はいまつ / 這松
[学] Pinus pumila (Pall.) Regel

マツ科(分子系統に基づく分類:マツ科)の常緑針葉低木。通常幹は走出枝が密生して四方に広がるが、風当りの少ない山腹などでは斜め上に伸び、またやや直立することもある。まったく直立する形は、北海道でみられる。葉は三稜(さんりょう)状針形をなし、長さ3~9センチメートル、短枝上に5枚束生し、多少湾曲し、剛強で縁(へり)には歯牙(しが)がすこしある。葉鞘(ようしょう)はない。雌雄同株。6~7月、開花する。雄花は新枝の下部および中部に密生し、暗紫紅色、包鱗(ほうりん)に2個の葯(やく)があり、黄色の花粉を出す。雌花は新枝の上部に2、3個つき、卵状楕円(だえん)形で淡紫紅色。球果は卵状楕円形で長さ4~5センチメートル、翌年の9月に帯緑褐色に熟す。種子倒卵形暗褐色、翼はない。高山や寒地に生え、中部地方以北の本州、北海道、および千島カムチャツカ樺太(からふと)(サハリン)、東シベリア、中国東北部、朝鮮半島に広く分布する。庭木および盆栽とする。材は器具、薪炭材、種子は食用となる。

[林 弥栄 2018年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイマツ」の意味・わかりやすい解説

ハイマツ(這松)
ハイマツ
Pinus pumila; dwarf stone pine

マツ科の常緑低木で,本州中部より北の高山帯に自生する。日本のほか北千島,サハリン,カムチャツカ,シベリア,朝鮮半島などにも分布する。幹は地に伏して伸び,密生する葉は長さ 6cmで,5本が一束になっている。雌雄同株,花は6月に咲く。球果は卵形で長さ 5cm内外,種子は三角状倒卵形で翼がなく,食用になる。高山帯ではしばしば大群落を形成する。盆栽に利用される。

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