改訂新版 世界大百科事典 「タカノツメ」の意味・わかりやすい解説
タカノツメ
Evodiopanax innovans (Sieb.et Zucc.) Nakai
山地の二次林に普通にみられるウコギ科の落葉高木。樹皮は灰白で平滑,材は白くて軟らかい。枝には短枝が発達する。葉は長枝では互生するが,短枝の先に数枚集まって束生し,3小葉で葉柄があり,小葉には鋸歯がなく,秋になると黄白色に色づいて落葉する。花は夏,短枝の先に出る数個の球状の散形花序につき,小型で淡緑色。花弁は5枚,長さ約2.5mm。おしべは5本。子房は下位で2花柱がある。果実は球形で秋に黒く熟し,馬に食べられて種子を散布する。別名のイモノキ(芋の木)は材がたいへん軟らかいためについた名で,タカノツメはその冬芽の形を鷹のつめに見立てたものである。北海道,本州,四国に分布し,日本の特産である。若芽は香りがあり,てんぷらやあえものにして食べることができる。材は箱,杓子,ようじ,はし,下駄,経木,マッチの軸木,薪炭などに利用される。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報