タカノツメ(英語表記)Evodiopanax innovans (Sieb.et Zucc.) Nakai

改訂新版 世界大百科事典 「タカノツメ」の意味・わかりやすい解説

タカノツメ
Evodiopanax innovans (Sieb.et Zucc.) Nakai

山地の二次林に普通にみられるウコギ科の落葉高木。樹皮は灰白で平滑,材は白くて軟らかい。枝には短枝が発達する。葉は長枝では互生するが,短枝の先に数枚集まって束生し,3小葉で葉柄があり,小葉には鋸歯がなく,秋になると黄白色に色づいて落葉する。花は夏,短枝の先に出る数個の球状の散形花序につき,小型で淡緑色。花弁は5枚,長さ約2.5mm。おしべは5本。子房下位で2花柱がある。果実は球形で秋に黒く熟し,馬に食べられて種子を散布する。別名イモノキ(芋の木)は材がたいへん軟らかいためについた名で,タカノツメはその冬芽の形を鷹のつめに見立てたものである。北海道,本州,四国に分布し,日本の特産である。若芽は香りがあり,てんぷらやあえものにして食べることができる。材は箱,杓子,ようじ,はし下駄,経木,マッチの軸木,薪炭などに利用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タカノツメ」の意味・わかりやすい解説

タカノツメ
たかのつめ / 鷹の爪
[学] Gamblea innovans (Sieb. et Zucc.) C.B.Shang, Lowry et Frodin
Evodiopanax innovans (Sieb. et Zucc.) Nakai

ウコギ科(APG分類:ウコギ科)の落葉小高木。高さ12メートル、直径60センチメートルに達し、幹、小枝ともに灰褐色で、刺(とげ)がない。葉は三出複葉で、長さ5~15センチメートル、小葉には細かい鋸歯(きょし)があり、長さ5~12センチメートルの長い葉柄がある。花は5~6月、短枝の先から出た複散形花序につき、淡黄緑色。果実は核果、球形、径約5ミリメートルで黒く熟す。北海道から九州に分布する日本特産種で、山地に普通に生える。名は、冬芽がタカのつめに似ているためとされるが、葉の形がそれに似るためとする説もある。材は箱、杓子(しゃくし)、箸(はし)、扇の骨などに用いられるが、折れやすい。材がいものように柔らかいため、イモノキの名もある。若芽は山菜として食べられる。タカノツメ属はアジア特産で、4種ある。

[門田裕一 2021年11月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タカノツメ」の意味・わかりやすい解説

タカノツメ(鷹の爪)
タカノツメ
Evodiopanax innovans

ウコギ科の落葉小高木で,イモノキとも呼ばれる。山地に生え,幹は直立して,高さ3~5mになり樹皮は平滑で灰褐色をしている。葉は3小葉から成る複葉で,短枝の先に集ってつく。夏,短枝の先に花軸を伸ばし,上部は分枝し,枝先に球状の散形花序をつける。タカノツメとはこの木の冬芽の形に基づき,またイモノキは材が柔らかいためである。また,タカノツメという呼称ナデシコ科のツメクサ,ベンケイソウ科のオノマンネングサやトウガラシの一種にも使われる。

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百科事典マイペディア 「タカノツメ」の意味・わかりやすい解説

タカノツメ

ツメクサ

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