ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タキツス」の意味・わかりやすい解説
タキツス
Tacitus, Cornelius
[没]120頃
ローマの歴史家。修辞学を学び,軍団司令官,財務官,法務官を歴任,4年間の地方勤務 (90~93) から帰ってドミチアヌス帝の恐怖政治を経験。 97年,ネルウァ帝のもとで執政官。『雄弁家についての対話』 (通称『対話』) Dialogus de Oratoribusはおそらく青年期の作。岳父の伝記『アグリコラ伝』 De Vita Julii Agricolae (98) はブリタニア地誌を兼ね,『ゲルマニア』 Germania (98) は堕落したローマへの警告を含む。代表作は 14~96年の歴史を扱った『同時代史』 Historiae (104~109) と『年代記』 Annales (115~117頃) 。その文体はキケロと白銀時代の両極端の間に位置づけられるが,簡潔にして含蓄に富む独自の世界を形づくっている。
タキツス
Tacitus, Marcus Claudius
[没]276.3/4. カッパドキア,チュアナ
ローマ皇帝 (在位 275~276) 。老齢,富裕の元老院議員だったが,アウレリアヌス帝暗殺後,元老院に推されて即位。2度執政官 (コンスル ) に就任し,40年ぶりの軍人出身以外の皇帝となった。ゴート人を破ったが,皇帝としての力はなく,わずか7ヵ月で部下の兵に殺された。
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