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タックス・ヘイブン tax haven

翻訳|tax haven

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タックス・ヘイブン
tax haven

税金避難地または租税避難地。唯一の確立した定義はないが,広義には,法人所得や利子,配当,使用料などに対して税制上の特典を設けている国または地域のことをいう。これらの国または地域では,通常は税制上の優遇措置に加えて為替管理,会社法などの面でも特別の規定が定められており,多国籍企業が名目だけの会社を設立し収益をそこに集中して税金逃れをはかったり,資金操作に利用したりする例が多い。経済協力開発機構 OECDの「有害な税の競争」報告書(1998)は,タックス・ヘイブンの識別要素として,(1) 無税または名目的な課税,(2) 他国と実効的な情報交換を行なっていないこと,(3) 透明性欠如,(4) 実質的活動の欠如,をあげた。2000年には,イギリス領バージン諸島クック諸島など 35の国または地域がタックス・ヘイブンとしてリストアップされたが,その後,情報交換協定の締結が相次ぎ,情報交換の確保と透明性の向上がはかられている。

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百科事典マイペディアの解説

タックス・ヘイブン

税金避難地。税率がゼロもしくは著しく低い国もしくは地域のこと。海外に進出している日本企業の課税逃れに利用されることも多く,近年では,大蔵省は指定した国・地域の海外子会社については,その所得を親会社の所得と合算することを義務づけている。
→関連項目オフショア・センターナッソーバヌアツバハマ

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ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

タックス・ヘイブン

租税避難地。外国に籍をおく個人や法人に対して、所得税法人税などの租税が大幅に軽減されるか、または無税とされる国や地域のこと。いずれもOECD(経済協力開発機構)の非加盟国。 昨今の企業の国際化に伴い、ペーパーカンパニーの設立による脱税マネーロンダリングなどの温床となっていることが問題視され、是正措置が求められている。 ちなみにhavenとは避難地のことで、天国(heaven)ではない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タックス・ヘイブン
たっくすへいぶん
tax haven

海外企業誘致のため、企業に対して税制上の優遇措置を与える国(または地域)をいう。租税回避地、租税避難地ともよばれる。一般的にタックス・ヘイブンは、次の四つのタイプに分類される。(1)無税の場合。所得税が課されないほか、租税条約を締結していない。会社の設立が容易である。これを「タックス・パラダイス」とよぶ。バハマ、バーミューダ、ケイマン諸島など。(2)軽課税の場合。税率が低く、しかも比較的多くの国と租税条約を締結している。配当に対して源泉課税をしない。「軽課税国」という。バージン諸島、ジャージー島など。(3)国外所得に課税しない場合。「タックス・シェルター」という。リベリア、パナマ、コスタリカなど。(4)特定のタイプの会社または事業活動に特別な税制上の優遇措置をとっている場合。「タックス・リゾート」という。オランダ、スイス、ルクセンブルク、リヒテンシュタインなど。
 要は国によって税の種類および税率に差がある限り、また特定の事業活動を助成するために税制上の優遇措置がある限り、程度の差こそあれ、タックス・ヘイブンが生じる。また、税制上の優遇措置のほかにも、金融取引に関する秘密保持、企業設立の容易さ、緩やかな外国為替管理による所得・資産の実態把握のしにくさなどの点が、多くの多国籍企業のタックス・ヘイブンへの参入を活発にしている。
 タックス・ヘイブンの利用は、多国籍企業を中心に、製造・販売会社で盛んである。多国籍企業などは、タックス・ヘイブンに免税会社または持株会社などの子会社を設立し、この企業を経由して事業活動を行い、それによって生ずる利益はその企業に積み立てて再投資することにより、本国の高い租税負担を回避し、租税支払額をなるべく低額にとどめるようにするのである。そのほか、海運会社が船籍をリベリア、パナマ、ギリシアなどに移すという形での利用も盛んであり、また、金融・保険会社などの利用も行われている。
 また、マフィアや麻薬シンジケートによるマネー・ロンダリング(麻薬取引などによって得た不正資金を口座から口座へと移し、資金の出所や受益者をわからなくすること)やロシア・東欧からの武器取引の絡んだ資金も流入してきている。このような状況に対して、各国政府とも税収を確保するために、特定外国子会社の所得を親会社の所得と合算して課税する制度を導入するなど、各種の方策を講じて、タックス・ヘイブン利用の規制に努めている。[相原 光]

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