たまか(読み)タマカ(その他表記)gall midges

デジタル大辞泉 「たまか」の意味・読み・例文・類語

たまか

[形動][文][ナリ]
倹約でつましいさま。
「新たに湯を沸かす手数と、薪の倹約とが出来るので、田舎の―な家ではよくやる事だ」〈左千夫・春の潮〉
細かい点にまで心を配って物事をするさま。誠実。実直。まめやか。
「身はぞんざいになって、―なる奉公いやになって」〈浮・禁短気・三〉

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精選版 日本国語大辞典 「たまか」の意味・読み・例文・類語

たまか

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. まめやかなさま。物事を緻密に処理するさま。実直。忠実。誠実。
    1. [初出の実例]「人の身に、はものをあつる事じゃ、たまかに、心をしづめて、それと云」(出典:天理本狂言・忠喜(室町末‐近世初))
  3. 倹約で、ひかえめなさま。
    1. [初出の実例]「たまか成遠里おのこかしこまり」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第二九)
    2. 「とかく女中はものごと質素(タマカ)にするがよい」(出典:滑稽本・六阿彌陀詣(1811‐13)二)
  4. こまかくてめんどうなさま。
    1. [初出の実例]「びいどろの徳利の中へ和久(わく)を入れるたまかな細工などして」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)二)

たまかの派生語

たまか‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「たまか」の意味・わかりやすい解説

タマカ
たまか / 癭蚊
gall midges
gall gnates

昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目原カ群の1科Cecidomyiidaeの総称。従来はタマバエとよばれていたが、系統上の取扱いから改称された。体と脚(あし)は細長く、カを小さくしたような繊細な昆虫である。頭部は小さく、触角は細長く数珠(じゅず)状で10~36節であるが、14節の種類が多い。鞭節(べんせつ)の各節には顕著な付属物があり、とくに雄では環状に絡みついた糸状の付属物(これを環糸という)があって、分類学上の有力な特徴となっている。はねは幅広く、翅端部は丸くてとがらない。翅脈は数少なく、横脈はない。脚は細長いが、基節は短く、脛節(けいせつ)末端には距刺(きょし)はない。つめ単純または有歯で、この特徴も分類学上重要視される。幼虫はほぼ紡錘形、やや扁平(へんぺい)で、13節よりなり、頭部は甚だ退化している。体色は乳白色のもののほか、種類によっては黄色、橙黄(とうこう)色、赤色のものなどがある。体を腹面に折り曲げ、その反動で跳びはねるものがある。前胸腹面中央には胸骨とよぶ骨格化した構造があるほか、各節には微細な突起と毛を有し、それらは分類学上重要視される。タマカのタマとは虫こぶのことであるが、虫こぶをつくる種ばかりではない。幼虫の生活様式を大別すると次のような三つに分けられる。

〔1〕植食性 生育中の植物を加害するもの。(1)葉、茎、根などに虫こぶをつくるもの、(2)ほかの昆虫がつくった虫こぶに共生するもの、(3)葉を巻き、その内側から食害するもの、(4)茎と葉柄(ようへい)の間、花や果物内に自由生活をするもの。

〔2〕腐食性 腐った植物質、樹皮、枯れ枝、動物の糞(ふん)、キノコにつくもの。

〔3〕捕食性 アブラムシ(アリマキ)、カイガラムシ、キクイムシ、微小なダニ類を捕食するもの。

[伊藤修四郎]

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