ダフネ(その他表記)Daphnē

デジタル大辞泉 「ダフネ」の意味・読み・例文・類語

ダフネ(Daphnē)

ギリシャ神話で、河の神の娘。アポロンの愛を拒んで逃げる途中、父に助けられて月桂樹に変えられた。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ダフネ」の意味・読み・例文・類語

ダフネ

  1. ( [ギリシア語] Daphnē 月桂樹の意 ) ギリシア神話ニンフテッサリア河神の娘。アポロンの愛をのがれようと父神のラドンに祈り、月桂樹に変えられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ダフネ」の意味・わかりやすい解説

ダフネ
Daphnē

ギリシア神話の美しいニンフ。その名は〈月桂樹〉の意。テッサリア地方の河神ペネイオスPēneiosの娘。彼女を恋したアポロンに追われて,まさにその手中に落ちんとしたとき,父神に助けを求め,月桂樹に姿を変えられた。以後,この木はアポロンの聖木となり,月桂冠が勝利者の頭を飾ることになったという。ラテン詩人オウィディウスの《転身物語》で有名なこの話は,ジョルジョーネ,プッサンらの筆になる多くの名画を生んでいる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダフネ」の意味・わかりやすい解説

ダフネ
Daphnae; Tahpanhes

古代エジプトの要害都市。ナイルデルタのカンタラの西方 12kmに位置する。現タルアルダファナ。旧約聖書ではタパネス (テパネス) として言及され,エルサレム陥落 (前 587) 後,多くのユダヤ人がここに移り住み,そのなかには強制的に連行された預言者エレミヤもいた。 1886年に F.ペトリーによって発掘され,この町を再建したといわれる第 26王朝のプサムティク1世 (在位前 664~610) の名前のある粘土板や,ギリシアの土器,鉄武具などが発見されている。第 26王朝のアーモス2世 (在位前 570~526) がナウクラティスにギリシア貿易の独占権を与えてから衰退した。

ダフネ
Daphnē

ギリシア神話で,月桂樹の前身とされる美貌ニンフ。ラドン川またはペネイオス川の河神の娘だったが,アポロンの求愛を嫌って,父の川の岸辺まで逃げ,そこで跡を追いかけてきたアポロンに捕えられそうになると,父に祈り,ギリシア語でダフネという月桂樹に変えてもらった。アポロンは,恋人の変身したこの木を,以後自分の聖木とし,勝利者に与えられる冠 (月桂冠) を,その枝でつくることにしたという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダフネ」の意味・わかりやすい解説

ダフネ
だふね
Daphne

ギリシア神話のニンフで月桂樹(げっけいじゅ)の擬人化。アルカディアまたはテッサリアの河神の娘とされる。あるとき彼女はアポロンに恋をしかけられたが、これを嫌って逃げた。追われながら助けを求めると、父(またはゼウス)が、アポロンに捕まえられようとするダフネを月桂樹に変えたという。この木はアポロンの木となった。またペロポネソス地方の伝承によれば、ダフネに恋をしたレウキッポスは女装して彼女に近づこうとし、彼女の狩りの仲間に入ることができた。しかし嫉妬(しっと)したアポロンが彼女たちに水浴をさせたため、レウキッポスの女装はたちまち見破られて、彼はダフネに狩りの槍(やり)で殺されたという。

[伊藤照夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ダフネ」の意味・わかりやすい解説

ダフネ

ギリシア神話のニンフ。アポロンに愛されて逃げおおせず,父に助けを求めたところ木に変えられた。それが彼女の名〈月桂樹〉で,以来アポロンの聖樹となる。オウィディウス《転身物語》で有名であり,絵画作品も多数。
→関連項目ニンフ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のダフネの言及

【オペラ】より

…なお,ワーグナーの作品は,とりわけ声量の豊かな歌い手でなければ歌いきることができないために,特別に豊かな声量をもち,ワーグナーの作品のキャラクターに適した歌い手を,とくに〈ワーグナー歌手〉と呼ぶならわしがある。
【歴史】

[オペラの誕生]
 オペラの前身は,ルネサンスのイタリアの宮廷で行われた音楽付きの祝祭的な催しのインテルメディオ(インテルメッツォ)にさかのぼると言われるが,実際にオペラの形態をとった最初の作品は,ペーリ作曲の《ダフネ》(1598)であった。しかし,この作品は断片的にしか伝わらず,今日楽譜を伴う完全な形で残っている最古の作品は,1600年にフランス国王アンリ4世とメディチ家のマリア姫の結婚を祝して,フィレンツェで上演されたペーリの《エウリディーチェ》である。…

【ペーリ】より

…1590年ころからメディチ家の歌手となり,コジモ2世の治世(1609‐21)に宮廷音楽監督の地位を得る。フィレンツェでは1580年代末からメディチ家に仕える貴族(バルディ伯とコルシ伯)をパトロンとして,詩人,音楽家,理論家たちが〈カメラータcamerata〉と称するアカデミーを結成し,古代ギリシア悲劇の朗唱法の復活を目ざして研究をつづけていたが,ペーリは90年代半ばからこのカメラータの一員となり,詩人リヌッチーニOttavio Rinuccini(1562‐1621)の協力を得て,音楽的物語《ダフネDafne》(1598初演)と《エウリディーチェEuridice》(1600年メディチ家の婚礼の余興として初演)を完成する。この2作品は,カメラータの会員たちの理論的研究の成果である〈舞台様式stile rappresentativo〉を実践したもので,今日,レチタティーボを用いた近代的なオペラの誕生を意味する作品と見なされている。…

【ゲッケイジュ(月桂樹)】より

…日当り良好な土地を好む。【星川 清親】
[神話,民俗]
 ギリシア神話によれば,愛の神エロスを嘲笑(ちようしよう)したアポロンは罰として黄金の矢を射られ,ニンフのダフネを熱愛してしまった。拒絶する彼女をペネイオス河畔へ追いつめたところ,彼女はゲッケイジュに変身して純潔を守ったという。…

※「ダフネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android