太平洋、ミクロネシアのマリアナ諸島の先住民。1521年にマジェランがグアム島を発見してから数十年後の65年、スペインはマリアナ諸島の領土権を宣言した。当時、およそ10万人のチャモロ人が居住していたとされる。17世紀末、チャモロ人はグアム島へ強制疎開させられた。現在では混血により、純粋なチャモロ人は存在しない。スペイン統治初期からのキリスト教化が進み、固有の宗教や制度も失われてしまった。考古学的発掘や16~17世紀の文献によると、チャモロ人はラッテ・ストーンとよばれるサンゴ石灰岩や玄武岩製の石柱建造物を築いたとされる。マリアナに広く分布するラッテ・ストーンが、礎石か祭祀址(さいしし)か、あるいは埋葬の記念碑であったのかは謎(なぞ)とされている。ラッテ建造以前にも、人間が紀元前から居住していたことが、先史遺物であるマリアナ赤色土器、無文土器の存在から知られている。チャモロ人は米の栽培を行い、三角帆とアウトリガー付きのマタとよばれるカヌーを利用した。ラッテ期の遺跡の発掘から石蒸し料理、漁労、ベテルチューイング(アレカヤシの実にコショウ科植物の葉と石灰を混ぜたものをかむ習慣で、刺激性が強い)が行われた証拠がみつかっている。チャモロ語は西カロリンのパラオ語とともに、オーストロネシア語族の一分派を形成し、インドネシア、フィリピン諸語との類縁関係が認められている。
[秋道智彌]
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