チュール(読み)ちゅーる(英語表記)Tulle

デジタル大辞泉 「チュール」の意味・読み・例文・類語

チュール(〈フランス〉tulle)

絹・ナイロンなどのごく細い糸で、薄く網状に織った布。女性用のベール、帽子の飾りなどに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「チュール」の意味・読み・例文・類語

チュール

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] tulle ) 薄い紗(しゃ)のような網状の織物。ベールやイブニングドレスなどに用いる。
    1. [初出の実例]「チュールのショールを買ひたいの」(出典:若いセールスマンの恋(1954)〈舟橋聖一〉五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チュール」の意味・わかりやすい解説

チュール(フランス)
ちゅーる
Tulle

フランス中部、コレーズ県の県都。マッシフ・サントラル(中央群山)の西部、標高212メートルの地にあり、コレーズ川(ドルドーニュ川支流ベーゼル川のさらに支流)の両岸に沿って位置する。人口1万5553(1999)。7世紀にベネディクト派修道院を中心に発生し、中世にはラシャ市が立った。ペストによる人口減や16世紀の宗教戦争で荒廃したが、18世紀に王立銃器工場ができ、現在は国立武器工場が産業の中心となっている。繊維工業は古くから盛んで、チュール織の原産地である。交通幹線から外れており、発展に取り残されている。12~14世紀の大聖堂がある。

[青木伸好]


チュール(生地)
ちゅーる
tulle

ごく微細な多角形の網状をした薄い経編生地(たてあみきじ)。組織は、もと隣合わせの経糸を次から次へと絡み合わせ、細かい六角形の穴をつくる手編地であったが、1768年にイギリスで機械化がなされ、経編機を使うようになった。これは穴の大きさが着用しているうちに不同を生じるなどの欠点があったが、ナイロンの出現によって、トリコット経編機で編み、ヒート・セットして、洗濯してからも型のくずれないものが現れた。用途は、ベール、帽子の装飾、縁飾りなどであるが、これにアップリケや刺しゅうをすることが多い。

[角山幸洋]

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改訂新版 世界大百科事典 「チュール」の意味・わかりやすい解説

チュール
Tulle

フランス中南部,コレーズ県の県都。人口2万1000(1982)。パリの南,鉄道で約460km,マシフ・サントラル中央山地)西麓コレーズ川の谷に立地する。平たん部が少なく,かつパリ~リモージュトゥールーズを結ぶ交通幹線からはずれており,この不利な地理的位置のため発展から取り残されている。おもな活動は県都としての行政・商業活動であり,工業としては国立の武器製造所がある。司教座が置かれ,ロマネスク・ゴシック様式の大聖堂がある。
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チュール
tulle[フランス]

多角形の網目をもつレース地の一種。多くは六角形で,横に引っ張ると矩形になる。フランスのチュールではじめて作られたところからこの名がついた。もとは手編みレースであったが,17世紀以後機械化され,19世紀に本格的に生産されるようになった。織機,編機に特殊な装置を取り付けて作られる。素材は絹,綿,麻,レーヨン,ポリエステル,ナイロン等で作られ,ドレス,ベール,帽子などの服飾品やカーテンにも用いられる。
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百科事典マイペディア 「チュール」の意味・わかりやすい解説

チュール

北欧神話の戦士の神。ギリシアのゼウスと同語源の名で,古くは天空神であったと思われるが,現存神話ではオーディン,トールらの下風に立ち,あまり活躍しない。フェンリル狼を縛るときに片手を失った。英語Tuesday(火曜日)は〈チュールの日〉の意。

チュール

細い糸で作った細かい網地織物。ふつう目が六角形をしているので亀甲紗(きっこうしゃ)ともいう。その名はフランスのチュールで生産されたのに由来する。初めは綿,絹が用いられたが,現在はほとんどナイロンやポリエステル製。刺繍(ししゅう)を施したチュール・レースもある。透き通っていて張りがあるので,ドレスの一部,縁飾布,ベール,カーテンなどにする。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チュール」の意味・わかりやすい解説

チュール
tulle

各種繊維のごく小さい多角形の網状縦編み布地。最近はナイロン製が多い。名称はフランスの原産地名テュルによる。花嫁のベール,ショール,婦人帽の装飾布地などに用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のチュールの言及

【アース神族】より

スノッリ・ストゥルルソンの《エッダ》の〈ギュルビたぶらかし〉によると,14の男神と後にふれる女神たちを含む。男神の中ではオーディンとトールがとくに活躍するが,そのほかにバルドル,ニョルズNjörðr(風,海,火,豊饒の神),フレイFreyr(豊饒と平和の神),チュールTýr(戦士の神),ブラギBragi(雄弁と詩の神),ヘイムダル,ホズ(盲目の神。ヤドリギでバルドルを射る),バーリ(ホズを討つ),ビーザル(怪狼を倒しオーディンの仇を討つ),ウルUllr(名射手),フォルセティ(和解の神),ロキ。…

【北欧神話】より

…トールの豪快な大蛇釣り,むくつけき花嫁に化けての奪われた槌の取り戻し,ウートガルザロキの国での力試しは北欧神話の中でもとくにユーモラスな冒険譚といえる。同じくオーディンの子チュールTýrは,アース神のうちでいちばん勇気のある神である。怪狼フェンリルFenrirをだまして神々が足枷をつけたとき,証しに手をその口の中に突っ込むことのできたのがこの神である。…

※「チュール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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