日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツンドラ土」の意味・わかりやすい解説
ツンドラ土
つんどらど
tundra soil
シベリア、アラスカ、カナダの北極圏内に広く分布するツンドラ(永久凍結層――永久凍土ともいう)は、年間を通じ地表または地表直下が凍結しているので、夏の短期間にのみ蘚苔(せんたい)類や地衣類が生えるにすぎないが、その時期に十数センチメートルから数十センチメートルの厚さの土壌がみられるようになる。融解した水分は永久凍土に遮断され、薄い土層内に飽和してグライ型土壌をつくり、植物の分解が進まず、泥炭として蓄積される。つまりツンドラ土とは、ツンドラ地帯に生じている泥炭質グライ性土のことであり、地表が凍結している冬の間は、氷雪に覆われた寒冷地砂漠と同じ状態で、風化作用も働かなくなる。高山の寒冷地にも北極地方のツンドラと同様の気候植生のもとに、ツンドラ土やツンドラグライ土、泥炭土などが出現する。
[浅海重夫]