ディナン(読み)でぃなん(その他表記)Dinant

デジタル大辞泉 「ディナン」の意味・読み・例文・類語

ディナン(Dinan)

フランス北西部、ブルターニュ地方コート‐ダルモール県の港町。観光保養地。ランス川の河口に位置する。中世面影を残す木組み造りの家並みをはじめ、ブルターニュ公国君主だったアンヌ=ド=ブルターニュのディナン城やフランボワイヤンゴシック様式のサンマロ教会など、歴史的建造物が数多く残っている。

ディナン(Dinant)

ベルギーナミュール州都市ムーズ川に面する高さ約100メートルの断崖の上に、11世紀頃に建造された城砦がある。中世から続く、ディナンドリーとよばれる真鍮しんちゅう細工が有名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディナン」の意味・わかりやすい解説

ディナン(ベルギー)
でぃなん
Dinant

ベルギー南東部、ナミュール州中部の観光都市。人口1万2763(2002)。フランス国境に近いムーズ川(マース川)右岸に位置する。自然の要害をなす高さ100メートルの石灰岩の崖上(がいじょう)に、1040年建設された城塞(じょうさい)を中心として発達。観光船の周航やカジノなどで、ムーズ河谷観光の中心地となっている。13世紀以来の伝統工業として、「ディナンドリー」と称する真鍮(しんちゅう)細工やビスケット製造工業がある。中世以来たびたび紛争の渦中にあったが、第一次世界大戦中の1914年にはドイツ軍により壊滅的破壊を受けた。

[川上多美子]


ディナン(フランス)
でぃなん
Dinan

フランス北西部、コート・デュ・ノール県の小都市。人口1万0907(1999)。ブルターニュ地方北部、ランス川左岸に位置する。織物や高級家具などの産地。もとブルターニュ公国に属し、アンヌ・ド・ブルターニュAnne de Bretagne(1477―1514)の城(14~15世紀)や城壁、ゴシック式教会などが残り、観光・保養地として有名である。

[高橋伸夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「ディナン」の意味・わかりやすい解説

ディナン
Dinant

ベルギー中南部ナミュール州の都市。人口1万2105(1981)。ムーズ川右岸に位置する観光地。ローマ期から重要な集落で,中世初期には造幣所や市場があった。11世紀以降河川交通と陸上交通との結節点として,銅とシンチュウによる金属製品の生産を土台に都市として発展(装飾的シンチュウ製品を意味する〈ディナンドリーdinanderie〉は,この都市名に由来する)。リエージュ司教領とナミュール伯領との境界にある軍事的要衝として,多くの政治的紛争に介入して,数度にわたる破壊を経験した。
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ディナン
Dinan

フランス北西部,コート・デュ・ノール県の都市。人口1万4157(1982)。台地上にあって,東側は数十mの崖下にランス川が流れ,麓の港から観光船がサン・マロに通じている。市街は13~14世紀の城壁と城館に守られ,中世さながらの町並みが残されている。百年戦争の英雄デュ・ゲクランの出身地で,サン・ソブール教会にその墓所がある。農産物の市が開かれる商業都市であるが,中小工場も郊外に立地している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディナン」の意味・わかりやすい解説

ディナン
Dinant

ベルギー南部,ナミュール州の町。ナミュールの南約 23km,フランス国境へ 24kmのムーズ川右岸の石灰岩の崖下に位置する。 11世紀以後フランス革命まではリエージュ司教領に属した。毛織物のほか,15世紀頃から生産されてきた「ディナンドリー」と呼ばれる真鍮製の台所用品や装飾品細工,「クックドディナン」と呼ばれるビスケット類が有名。2度の世界大戦で多くの建物が破壊されたが,なお 11世紀の城塞 (現美術館) をはじめ,歴史的建築物が多く,美しい鍾乳洞もあり,観光地となっている。人口1万 2183 (1991) 。

ディナン
Dinan

フランス西部,コートダルモール県の町。サンマロ南方約 20km,ランス川左岸に位置する。ブルターニュ公領の旧要塞町。ランス河谷の景観と多くの中世建造物によって,観光地として知られる。城壁 (11世紀創設) ,谷を見おろす防御塔 (14~15世紀) ,フランボアイヤン様式のサンマロ聖堂 (15世紀) ,ロマネスク,ゴシック両期にまたがるサンソブール聖堂などがある。人口1万 2873 (1990) 。

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世界大百科事典(旧版)内のディナンの言及

【鋳造】より

…シンチュウは金属としては高価なものではなく,また装飾や金めっきの下地に向かなかったので,おもに教会用雑器や家庭用食器につくられた。ディナンDinantの町はこれらシンチュウ製品でよく知られ,15世紀には〈ディナン物dinanderie〉という言葉はムーズ渓谷沿いで大量に作られたシンチュウ製品をいうのに使われた。またシンチュウ製品一般をこのように呼ぶ場合もある。…

【青銅】より

…エトルリア,ローマ美術でもブロンズは多用されている。中世には燭台,香炉など祭儀用のブロンズが制作され,ムーズ(マース)川沿岸のディナンなどに著名な鋳造工場があったが,モニュメンタルな人像表現はルネサンス期までほとんどみられない。ルネサンス期の古典再生への熱情と人間復興は,ドナテロの《ダビデ》などの傑作を生み,ブロンズの再生を促した。…

【鋳造】より

…シンチュウは金属としては高価なものではなく,また装飾や金めっきの下地に向かなかったので,おもに教会用雑器や家庭用食器につくられた。ディナンDinantの町はこれらシンチュウ製品でよく知られ,15世紀には〈ディナン物dinanderie〉という言葉はムーズ渓谷沿いで大量に作られたシンチュウ製品をいうのに使われた。またシンチュウ製品一般をこのように呼ぶ場合もある。…

※「ディナン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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