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デッカー Dekker, Thomas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

デッカー
Dekker, Thomas

[生]1572頃.ロンドン
[没]1632.8.25. ロンドン
イギリスの劇作家,パンフレット作家。興行師ヘンズローに雇われて戯曲の合作に従事し,1598~1602年に約 10編の単独作と 30編余の合作 (現存6編) を書いた。伝奇劇『老フォーチュネイタス』 Old Fortunatus (1600) と,ロンドンの庶民生活を活写した喜劇『靴屋の休日』 The Shoemaker's Holiday (1600) が単独作の傑作で,ほかに B.ジョンソンを風刺した喜劇『風刺詩人攻撃』 Satiromastix (01) や一部 T.ミドルトンとの合作になる『けがれなき娼婦』 The Honest Whore (2部,04,30) などがある。また疫病の惨状を描いた『驚異の年』 The Wonderful Year (03) ,世相を風刺した『ロンドンの七つの大罪』 The Seven Deadly Sins of London (06) ,放蕩児の生態を風刺した『伊達男いろは帖』 The Gull's Hornbook (09) などのパンフレットを刊行,市民生活の描写にすぐれた腕をみせた。

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世界大百科事典 第2版の解説

デッカー【Thomas Dekker】

1572?‐1632
イギリスの劇作家。その生涯についてはよくわからないが,きっすいのロンドンっ子であり,たえず貧困に苦しみながら,多くは他の作家と共作して50編近い劇を残した。単独作のなかでは,靴づくりの親方が思わぬ富を得てロンドン市長にまで出世する話を軸に,職人の世界を笑いとペーソスで描いた《靴づくりの祭日》(1600初演)が一大成功作であり,また伝奇的ロマンスと道徳劇的寓意をないまぜにした《老フォーチュネータス》(1599)もユニークな作品といえる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

デッカー
でっかー
Thomas Dekker
(1570?―1632)

イギリスの劇作家、パンフレット作家。ロンドンで生まれ育ったらしいが、出身は不明。一生借金に苦しみ、そのため幾度か投獄され、1613年からは7年近くも獄中に過ごした。M・ドレイトン、H・チェットル、J・ウェブスターらとの合作が多く、1597~1604年を中心に、単独作・合作あわせて40編以上の戯曲を書いたが、大半は失われている。彼がよく知っていたロンドンの庶民の活気にあふれた生活を、愛情を込めて描いた喜劇『靴屋の休日』(1600)は、エリザベス朝戯曲の傑作の一つ。ほかに『老フォーチュネイタス』(1600)、T・ミドルトンとの合作『律義な娼婦(しょうふ)』(1604)などが知られる。その後はロンドンの風俗を写実的に描写したパンフレットが多く、エリザベス女王の死とその年猖獗(しょうけつ)を極めた疫病の惨状を伝える『驚異の年』(1603)、『ロンドン七つの大罪』(1606)、とくに伊達(だて)男を気どる田舎紳士(いなかしんし)を風刺した『阿呆鳥(あほうどり)いろは教本』(1609)に、その才能が現れている。[岡本靖正]
『北川悌二訳『しゃれ者いろは帳』(1969・北星堂書店) ▽三神勲訳『靴屋の祭日』(『世界文学大系89 古典劇集2』所収・1963・筑摩書房)』

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世界大百科事典内のデッカーの言及

【エリザベス時代】より

…初期の歴史劇から晩年のロマンス劇にいたるその複雑な作家的展開の過程において,言語・舞台芸術としての演劇のあらゆる可能性が試され,開花させられていると言って過言ではない。彼と同時代またはその後の劇作家には,風刺喜劇の型を確立したベン・ジョンソン,ロンドンの民情を背景にメロドラマを多作したトマス・デッカー,高揚された詩的表現を用いて迫力に富む流血悲劇を作り上げたジョン・ウェブスター,冷徹皮肉な人間性の観察者トマス・ミドルトン,純化された情念の輝きを耽美的に追求したジョン・フォードなどがいる。彼らの作品は移り変わる観客の嗜好と人気の波にもまれつつ,時に10に及ぶ数の劇場で上演され続けたが,ピューリタン革命勃発後の1642年にロンドン中の劇場が閉鎖されることになって,エリザベス朝演劇はその幕を閉じた。…

※「デッカー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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