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デュラス Duras, Marguerite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

デュラス
Duras, Marguerite

[生]1914.4.4. サイゴン近郊ジャーディン
[没]1996.3.3. パリ
フランスの女流作家。 18歳までフランス領インドシナで過し,パリ大学法学部を卒業後さらに政治学を学び,植民地省の秘書となった。『太平洋の防波堤』 Un barrage contre le Pacifique (1950) ,『ジブラルタルの水夫』 Le Marin de Gibraltar (52) など,初めはネオリアリズムの小説を書いていたが,『タルキニアの子馬たち』 Les Petits chevaux de Tarquinia (53) 以後,内面の心理の動きを直截にとらえようとし,『モデラート・カンタービレ』 Moderato Cantabile (58) によって,ヌーボー・ロマンに近い作家とみなされるにいたった。そのほか,小説『広場』 Le Square (55) ,『夏の夜の 10時半』 Dix heures et demie du soir en été (60) ,『アンデスマ氏の午後』L'Après-midi de Monsieur Andesmas (62) ,『イギリスの恋人』L'Amante anglaise (67) ,自伝的小説『愛人』L'Amant (84) ,シナリオ『24時間の情事』 Hiroshima mon amour (1959) など。 84年ゴンクール賞を受賞。

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デジタル大辞泉の解説

デュラス(Marguerite Duras)

[1914~1996]フランスの女性作家。フランス領インドシナのサイゴン(現在のホーチミン)生まれ。簡潔な文体と暗示的な会話を特徴とする。小説「モデラートカンタービレ」「愛人」のほか、アラン=レネ監督の映画「二十四時間の情事」の原作・脚本などで知られる。

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百科事典マイペディアの解説

デュラス

フランスの女性作家。インドシナのサイゴン(現ホー・チ・ミン)で生まれ,長じてパリに出て文筆活動を始める。簡潔な会話体で疎外の心理を微妙に描いた小説,戯曲,映画シナリオで知られる。
→関連項目レネ

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世界大百科事典 第2版の解説

デュラス【Marguerite Duras】

1914‐96
フランスの女流作家,映画作家。インドシナのサイゴン(現,ホー・チ・ミン市)に生まれ,少女期まで同地ですごす。17歳でパリに移り法律と数学を学んだが,やがて文学に専念。《太平洋の防波堤》(1950)によって文名を確立。自伝的色彩の濃い作品で,《ジブラルタルの水夫》(1952)とともにアメリカ小説の影響を残していたが,《タルクイニアの小馬》(1953)以降,しだいに独自の世界を築く。《モデラートカンタービレ》(1958)や《イギリスの恋人》(1968)の犯罪と狂気,《夏の夜の十時半》(1960)の絶対的な愛など,さまざまな手段で孤独を逃れ,生に意味を与えたいと思いながらついに孤独に帰らざるをえない人間の姿を描き続けた。

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大辞林 第三版の解説

デュラス【Marguerite Duras】

1914~1996) フランスの女性作家・映画作家。サイゴン生まれ。愛・生・孤独といった主題を簡潔かつ抽象的な手法で描く。小説「モデラート-カンタービレ」「愛人」、映画「インディア-ソング」「トラック」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

デュラス
でゅらす
Marguerite Duras
(1914―1996)

フランスの女流小説家、映画監督。4月4日、インドシナ(ベトナム)に生まれる。18歳のときパリに出て、ソルボンヌ大学(パリ大学)で学んだ。初期の『静かな生活』(1944)、『太平洋の防波堤』(1950)は、アメリカ小説、ことにヘミングウェイの影響を受けたネオリアリズム的作風を示しているが、『辻(つじ)公園』(1955)、『モデラート・カンタービレ』(1958)ごろからストーリー性を脱却した独自の対話スタイルを樹立し、発話の底に横たわる無意識的なるものの活力を浮かび上がらせようとする探究精神から、しばしばヌーボー・ロマンの作家たちと比較されるようになった。それ以後も『ロル・V・シュタインの歓喜』(1964)、『副領事』(1965)、『インディア・ソング』(1973)と狂気をテーマにした連作を発表し、『愛人』(1984)でゴンクール賞を獲得した。
 また『セーヌ・エ・オワーズの陸橋』(1959)以後10編を超える戯曲を発表し、女優のマドレーヌ・ルノーとのコンビは『サバナ・ベイ』(1983)まで続いている。シナリオ作家としては『ヒロシマ、私の恋人』(邦訳名『24時間の情事』1960)、『かくも長き不在』(1961)を発表したが、自作の戯曲『ラ・ミュジカ』(1965)の映画化に際して自ら監督業に乗り出し、『破壊しに、と彼女は言う』(1969)、『ナタリー・グランジェ』(1972)を手がけ、音声と映像をそれぞれ独立した二系列として扱った。その新しい組合せによって無意志的記憶の浮上を追う実験は、『インディア・ソング』(1975)でみごとな成果をあげた。その後も『トラック』(1977)など前衛的作品を撮り続けた。[田中倫郎]

資料 監督作品一覧

ラ・ミュジカ(冬の旅・別れの詩) La musica(1965)
破壊しに、と彼女は言う Dtruire dit-elle(1969)
ナタリー・グランジェ Nathalie Granger(1972)
インディア・ソング India Song(1975)
ヴェネツィア時代の彼女の名前 Son nom de Venise dans Calcutta dsert(1976)
トラック Le camion(1977)
マルグリット・デュラスのアガタ Agatha et les lectures illimites(1981)
『田中倫郎訳『インディア・ソング/女の館』(1976・白水社) ▽三輪秀彦訳『アンデスマ氏の午後/辻公園』(1979・白水社) ▽平岡篤頼訳『木立ちの中の日々』(1979・白水社) ▽田中倫郎訳『モデラート・カンタービレ』(河出文庫) ▽三輪秀彦・安堂信也訳『デュラス戯曲全集』全2巻(1969・竹内書店新社) ▽清水徹訳『愛人』(1985・河出書房新社)』

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