北欧神話でオーディンとならび最もよく知られる神。北欧のみならずゲルマンの全域で崇拝されていた神であることが記録や地名,人名からもわかる。エッダによるとオーディンとヨルズの子。妻はシブでスルーズヘイムに住む。投げれば敵を必ず倒す槌ミョルニルと力を倍にする力の帯,それに槌の柄を握る鉄の手袋をもつ。神々と人間の世界を巨人族から守るアース神族随一の力の持主で,巨人スリュムのところでの奪われた槌のとりもどし,巨人ヒュミルとの豪快な大蛇釣り,巨人ゲイルロズ退治,巨人フルングニルとの決闘,ウートガルザロキの国への遠征などかずかずの興味深い話がある。世界の終末にはミズガルズの大蛇と渡り合って戦い,ついにこれを倒すが,みずからも大蛇の吐いた毒にあたって命を落とす。雷神,天気の神,農民の神であって,サガやスカルド詩にも登場する。木曜日をあらわす英語のThursday,ドイツ語のDonnerstagは〈トールの日〉の意である。
執筆者:谷口 幸男
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北欧神話の神。オーディンとともによく知られ、『エッダ』ではオーディンの子とされる。妻はシブ。スルーズヘイムに住み、投げればかならず敵を倒す槌(つち)ミョルニルと、力を倍にする力帯、その槌の柄(え)を握るための鉄の手袋を武器にもつ。巨人族から神々と人間を守るアサ神族随一の怪力の持ち主で、エッダ神話には、巨人スリムのところでの槌を取り戻す話や、巨人ヒミルとの大蛇釣り、巨人ゲイルロズ退治、巨人ウートガルザロキの国への遠征の話などが数多く語られている。世界の終末にはミドガルドの大蛇を倒すが、その毒によって自らも命を落とす。雷神、農民の神であるこの神が広くゲルマン全域で崇拝されていたことは、地名や人名からもうかがえる。
[谷口幸男]
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…別属であるが,ムカゴイラクサやミヤマイラクサも刺毛を有し,触れると痛い。【矢原 徹一】
[民俗]
イラクサは北欧神話の雷神トールにちなむ草とされている。とげの形状が雷を連想させるためか,チロル地方でも落雷除けにイラクサをいろりの火にくべる。…
…天然に存在する最も主要な放射性元素の一つである。1828年スウェーデンのJ.J.ベルセリウスがノルウェー産の鉱物中から発見し,オーディンと並んでよく知られる北欧神話の雷神トールThórrにちなんで命名した。98年ドイツのシュミットG.C.N.SchmidtおよびフランスのM.キュリーがそれぞれ独立に放射性元素であることを発見した。…
…また古代ローマでは平和と幸福をもたらす木として,結婚式の夜にたくたいまつとして使われた。北欧でも雷神トールの木とされ,落雷から家や墓を護ると信じられた。ケルト人もこれを英知の木と考えて崇拝し,無断で切り倒せば死刑に処せられたといわれる。…
※「トール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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