ドゥーブ(読み)どぅーぶ(英語表記)Leonard William Doob

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドゥーブ」の意味・わかりやすい解説

ドゥーブ
どぅーぶ
Leonard William Doob
(1909―2000)

アメリカの社会心理学者。1929年ダートマスカレッジを卒業。1934年ハーバード大学博士号を取得し、同年エール大学で教鞭(きょうべん)をとり、1950年同大学心理学教授となった。1977年の退職まで、アフリカ研究委員会の議長、そして社会研究部門の主任を務め、名誉教授称号を贈られる。紛争地域における平和促進の方策を考えるにあたり、心理学の法則を導入した。「欲求不満‐攻撃」理論(1939)で有名。世論科学の分野で優れた業績をあげており、とくに『世論と宣伝』(1948)は、世論、宣伝、マス・コミュニケーションの諸テーマに対して一般理論を包括的に取り扱った。しかし、個人心理学的な扱い方が強すぎるため、現代社会におけるマスコミの今日的な問題状況、たとえば産業論的あるいは構造論的アプローチといった分析には掘り下げが不足していると指摘されている。そのことは、『社会心理学』(1952)においても、社会と個人、集団、社会変化の問題を多面的に論じてはいるが、刺激や反応といったやや古い個人心理学的アプローチが全体を通して感じられることにも通じる。ほかに『宣伝の心理と技術』(1935。邦訳『宣伝心理学』)、『平和の追求』(1981)などがある。

[林 茂樹

『春日克夫訳『宣伝心理学』(1944・育生社弘道閣)』『Leonard W. DoobPropaganda ; its psychology and technique(1935, H. Holt and company, New York)』『John Dollard, Neal E. Miller, Leonard W. Doob, O.H. Mowrer, Robert T. SearsFrustration and aggression(1939, Yale University Press)』『Leonard W. DoobSocial psychology ; an analysis of human behavior(1952, Holt, New York)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ドゥーブ」の意味・わかりやすい解説

ドゥーブ
Joseph Leo Doob
生没年:1910-2004

アメリカの数学者。シンシナティに生まれる。ハーバード大学に学び,ここで学位を得た。1935年以来イリノイ大学に所属し,45年教授となる。確率過程論の基礎に関する系統的研究を行い,とくに可分変形の理論とマルチンゲールの理論は著しく,その成果は53年刊行の著書《確率過程》に収められている。マルチンゲールは公平なかけ事のモデルと考えられる重要な確率過程であり,P.レビらが研究を始めたが,ドゥーブはそれとともに劣マルチンゲールという概念も導入し,解析学における(劣)調和関数論の確率論版ともいうべき美しい理論を作った。以来さらにこの理論を有効に応用しつつ,関数の性質に関する古典的諸問題をブラウン運動の確率論的性質との対応において調べ,解析学および確率論双方の研究発展に大きな影響を与えた。関連する著書に《古典的ポテンシャル論とその確率論的対》(1983)がある。
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367日誕生日大事典 「ドゥーブ」の解説

ドゥーブ

生年月日:1910年10月27日
アメリカの数学者
2004年没

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