ドレッドノート(英語表記)H. M. S. Dreadnought

精選版 日本国語大辞典 「ドレッドノート」の意味・読み・例文・類語

ドレッドノート

[1] イギリス戦艦の名。一九〇六年完成。排水量一万七九〇〇トン。速力二一ノット。大艦巨砲主義により製作され、中間砲・副砲を全廃して、主砲一〇門を備えた。
[2] 〘名〙 (一)の型の軍艦弩級艦(どきゅうかん)。〔舶来語便覧(1912)〕

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デジタル大辞泉 「ドレッドノート」の意味・読み・例文・類語

ドレッドノート(Dreadnought)

《何ものをも恐れない意》英国海軍が1906年に建造した大型戦艦の名。転じて、大型戦艦。弩級どきゅう艦。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドレッドノート」の意味・わかりやすい解説

ドレッドノート
H. M. S. Dreadnought

1906年に竣工したイギリスの戦艦。常備排水量1万 7900t,速力 21kn,主砲 12インチ (30cm) 10門,3インチ (7.6cm) 補助砲二十数門を装備し,まだ実験の域にあったタービン機関を採用した。当時の戦艦は 12インチ砲4門が普通であり,速力も 20kn以下であったので,各国に大きな衝撃を与え,大艦巨砲主義時代を開いた。ドレッドノート級戦艦を「ド級艦」,さらに大型で巨砲装備艦を「超ド級艦」 super dreadnoughtと呼んだ。同じ 06年に日露戦争の戦訓を加味して建造を開始した日本の戦艦『薩摩』は,排水量1万 9400t,主砲が 30cm4門,25cm12門という大艦巨砲主義のものであったが,完成が 09年であったこと,主砲が2種類であったことによって,『薩摩』の名は軍艦史に残らなかった。なお,イギリスが第2次世界大戦後建造した最初の原子力潜水艦もドレッドノートであり,水上排水量 3500t,53cm魚雷発射管6,速力 30knの攻撃 (戦術) 型潜水艦である。

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百科事典マイペディア 「ドレッドノート」の意味・わかりやすい解説

ドレッドノート

大艦巨砲主義先駆となった英国の戦艦。日露戦争で大口径砲をもつ戦艦の優位が明らかになったため,それまでの片玄(へんげん)発射の中口径副砲を廃し,大口径主砲を極力増して中心線上におき,両玄への発射を可能にしたもの。1906年進水,排水量1万7900トン,30cm砲10門,蒸気タービン,21ノット。これにより在来型戦艦は価値を失い,以後各国ともこの方式の戦艦を建造,ド(弩)級艦と呼んだ。
→関連項目三笠

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デジタル大辞泉プラス 「ドレッドノート」の解説

ドレッドノート〔弩級戦艦〕

《Dreadnought》イギリス海軍の戦艦。1906年進水、同年就役。全長約160m、排水量約18,000トン。同型艦なし。日本語で戦艦規模をあらわす「弩(ど)級」「超弩級」などの表現で使われる「弩」は、本艦を指す。蒸気タービンによる高速化、遠距離射撃に強い単一口径巨砲の採用など、革新的な設計により脚光を浴び、以後の世界の戦艦設計に大きな影響を与えた。1919年退役、1923年スクラップとして解体

ドレッドノート〔装甲艦〕

《Dreadnought》イギリス海軍の装甲艦。1875年進水、1879年就役。排水量、約10,900トン。設計はナサニエル・バーナビー。1905年退役。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ドレッドノート」の解説

ドレッドノート
Dreadnought

1906年に建造されたイギリスの戦艦。命名は「恐れを知らず」の意味。排水量1万7900トン,30cm砲10門を装備した当時の世界で最大,最強の軍艦で,19世紀末以降イギリスとドイツの間で展開された建艦競争の象徴といえる存在となり,第二次世界大戦初期まで続いた大艦巨砲主義の時代を開いた。

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世界大百科事典(旧版)内のドレッドノートの言及

【艦砲】より

… 19世紀中ごろ以降には火薬の急速な進歩による弾丸威力と射距離の増大,滑腔砲から旋条砲への移行,尾栓機構,駐退復座装置,水圧装置などの発達により艦砲は旋回俯仰(ふぎよう)可能な大口径後装砲となり,射撃指揮装置の発達とあいまってここに近代式艦砲が誕生した。日清・日露の海戦で初めてこの艦砲の威力が実証され,イギリスは12インチ砲を主砲とする新鋭戦艦ドレッドノートを建造し大艦巨砲時代の幕を開いた。ロンドン軍縮会議で艦砲は口径14インチ以下と定められたが,期限切れ後に日本は世界最大の46cm砲を装備した戦艦大和,武蔵を建造した。…

【軍艦】より


[20世紀]
 金属材料の発達により,敵弾に耐える甲鉄(装甲用の鋼鉄)が生まれ,一方でこれを破る大型の砲弾が登場し,巨砲対甲鉄の競争の下に戦艦が造られた。日露戦争当時の戦艦は1万4000~1万7000トン,11~12インチ主砲4門,7.5~10インチ中間砲と5~6インチ副砲それぞれ十数門を装備していたが,日本海海戦の経験は世界の軍艦の設計に大きな影響を与え,イギリスは1906年,1万7900トン,タービン機関を備え,速力21ノット,12インチ砲10門を有するドレッドノートを建造した。これが大艦巨砲時代の幕あけとなって,各国は競ってド(弩)級戦艦,巡洋戦艦を造り始めた。…

【戦艦】より

…両艦は防御装甲に鉄や軟鋼より耐弾力が強い特殊鋼を使用したが,これによる重量軽減の結果,大馬力の機関を搭載して速力を増し,兵器や弾火薬の搭載量も増大させることができた。
[ド級戦艦の誕生]
 1906年イギリスは日本海海戦の戦訓を取り入れて,〈ドレッドノートDreadnought〉(1万7900トン)を建造した。これはド(弩)級戦艦と呼ばれ,蒸気タービンを採用して出力を2倍程度に高め,また主砲を増加させて副砲は全廃し,かつ砲塔は極力艦の中心線上に配置して,艦首尾および艦横方向へ斉射できるようにした点で革新的戦艦と目された。…

※「ドレッドノート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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