ナイルチドリ(英語表記)Pluvianus aegyptius; Egyptian plover

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナイルチドリ」の意味・わかりやすい解説

ナイルチドリ
Pluvianus aegyptius; Egyptian plover

チドリ目ナイルチドリ科。ワニチドリともいう。全長 22cm。頭部から背は黒く,白色の長い眉線がある。風切は黒く,のほかの部分は灰青色。尾は黒く,先端に白帯がある。胸腹部は黄褐色で,胸に肩から伸びる黒い横帯がある。脚は黒色。人を恐れない鳥としてよく知られている。また,ワニ類の口内に入って,歯の間に残っている肉片をとったり寄生虫をとったりするという,ギリシアの歴史家ヘロドトスの記事で有名な鳥であるが,実際にはこのような採食は確認されていない。しかし,ワニの背に止まって,体表についている寄生虫をくわえとることはある。ナイル川流域およびスーダンからセネガルにかけての一帯ウガンダからアンゴラに分布する。

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改訂新版 世界大百科事典 「ナイルチドリ」の意味・わかりやすい解説

ナイルチドリ
Egyptian plover
Pluvianus aegyptius

チドリ目ツバメチドリ科の鳥。ワニチドリ(英名crocodile plover)とも呼ばれる。全長約22cm。エジプトから熱帯西アフリカおよびアンゴラにかけて分布する。頭上,過眼線,胸帯,背は黒く,翼と尾は灰色,のどから胸と,腹は淡黄褐色である。川の砂州や岸にすみ,地上で生活し,速く走る。ワニが口を開けて待っていると飛んできて歯の間をそうじするといい伝えられているが,これは事実ではないようである。1腹2~3個の卵を砂に埋めて産み,その上でうずくまって抱卵する。この抱卵は卵を埋めた地面が熱くなりすぎないように日陰をつくるためらしい。吐いた水で卵を冷やす習性もある。また小さな雛に危険が近づいたときにも親は砂をかけて埋める。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナイルチドリ」の意味・わかりやすい解説

ナイルチドリ
ないるちどり
Egyptian plover
[学] Pluvianus aegyptius

鳥綱チドリ目ツバメチドリ科の鳥。アフリカに分布し、ナイル川沿岸で普通にみられる。古代ファラオ文明の遺跡にはよくこの鳥が描かれている。全長21センチメートル。上面は灰色、下面は淡黄褐色。頭、過眼線、後頸(こうけい)から背は黒色。白い眉斑(びはん)とU字形の緑黒色の胸バンドをもつ。嘴(くちばし)は短く太めで、足の指は3本である。川の砂州や岸辺にすむ。産んだ卵には砂をかけ、その上から抱卵する。本種はワニの背を歩くことがあるのでワニチドリの名をもつが、ワニの口の中で歯の間の肉片や食物のかすを取り除くという習性については、学者による確認はなく単なる言い伝えと思われる。

[柳澤紀夫]

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百科事典マイペディア 「ナイルチドリ」の意味・わかりやすい解説

ナイルチドリ

ワニドリ,ワニチドリとも。ツバメチドリ科の鳥。翼長13cm。翼は灰色で,頭部や体側,背面には黒い筋がある。ナイル川沿岸など水辺に生息。おもに地上で生活し,速く走る。ワニの歯の間や皮膚の寄生虫をとって食べるといわれるが事実ではないらしい。
→関連項目ツバメチドリ

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