改訂新版 世界大百科事典 「ナギイカダ」の意味・わかりやすい解説
ナギイカダ
butcher's-broom
Ruscus aculeatus L.
ユリ科の常緑の草のような低木。株になり,高さ40~70cm,濃緑色の葉状の枝が特徴で,先端はとげ状に硬く,長さ1.8~3.5cm。雌雄異株で花は3~4月に咲き,葉状枝の中央に1~2花をつける。花は黄緑色で小型で,花被は6枚,おしべ3本。果実は9~11月に紅熟し,球形で直径0.5~1cm余りで,中に1種子がある。日本には雌株は少なく,春か初秋に株分けで殖やすが,生長は遅い。日陰地でもよく耐えて生育し,葉状枝のとげが鋭いので人畜の侵入をふせぐために生垣状に植栽されたり,屋内の観賞用に植えられる。葉状枝は切花として,また着色して装飾用にも利用されている。
ナギイカダ属Ruscusは世界に数種あり,地中海沿岸を中心に分布する。ヒロハナギイカダR.hypoglossum L.は葉状枝が2~4cmと幅広く,高さ50~70cmに生育する。またR.hypophyllum L.も栽植され,花は数花つく。
執筆者:中村 恒雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報