エーゲ海のキクラデス諸島中最大の島。面積428km2,人口1万7000(1971)。緑が多く,ギリシア神話では,クレタのミノタウロスを退治したテセウスが,協力した同伴のアリアドネを置き去りにしたとされる島。アリアドネと結婚したディオニュソスの祭りと特産ブドウ酒で名高い。また研磨用エメリーと大理石を産し,石切場,彫刻場として古代に栄えた。ナクソス人が奉納したデロス島のアポロン像,デロス島のスフィンクスをはじめ初期アルカイク期の大理石彫刻に多量に使われた。前6世紀後半僭主リュグダミスのもとで全諸島に君臨した。イオニア人の反乱に加担して前490年ペルシア艦隊の略奪を被るが,サラミスの海戦(前480)にはギリシア側に船を拠出した。ペルシア戦争後,デロス同盟に加入するが,アテナイへの反抗に敗れて従属。ローマ支配時代,4世紀以後はコンスタンティノープルから統治される。キリスト教が早くから広まり,やがて隣のパロス島,アンティパロス島とともに,東方正教会パロナクシア府主教区を構成。第4回十字軍の際ベネチア貴族マルコ・サヌードが同島を本拠地にエーゲ海公国を建設(1207),ローマ・カトリック教会所属のナクソス大司教座が置かれた。スペインのユダヤ教徒迫害を逃れイスタンブール(コンスタンティノープル)に亡命し,オスマン帝国スルタンの寵臣となったナシはこの島を支配し(1566-79),その後同島は最終的にオスマン帝国領に編入された。ギリシア解放戦争後ギリシアに帰属し(1832),現在に至る。
執筆者:渡辺 金一
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ギリシア南東部、エーゲ海南部のキクラデス諸島中最大の島。面積428平方キロメートル、人口1万7646(2001)。東半分は険しい山地で大理石を産する。最高峰ジアZiá(別称ドリオスDríos)山は標高1002メートル。西側に沃野(よくや)が開け、柑橘(かんきつ)類、オリーブ、良質のワインなどの産地で、畜産も盛んである。中心市は北西岸のナクソス。ミケーネ時代末期にギリシア人の集落が形成され、紀元前11世紀にイオニア人に占拠され、前735年ごろシチリア島の植民市ナクソス建設に参加し、前6世紀後半に僭主(せんしゅ)リグダミスのもとで繁栄した。前490年ペルシア軍に破壊され、デロス同盟に加盟し、前470年ごろ加盟国中最初に離反して失敗し、前4世紀には第二次アッティカ海上同盟に加わった。中世には、第4回十字軍(1202~04)を機にベネチア人のエーゲ海支配の拠点として栄えたが、1566年オスマン帝国の支配下に入った。1832年よりギリシア領。
[清永昭次・真下とも子]
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エーゲ海南部のキュクラデス諸島最大の島。肥沃な平野を有し,ブドウ栽培とディオニュソス信仰で有名。前6世紀後半僭主(せんしゅ)リュグダミスのとき支配を近隣の島に及ぼす。前490年ペルシアの攻略を受け,のちデロス同盟に加入。
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出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…鉱物資源にめぐまれ,大理石,黒曜石,金剛砂,鉄鉱石,亜鉛,銀,マンガン,硫黄,軽石などを産する。おもな島には,アポロンとアルテミス誕生の聖地として全ギリシアの信仰を集めたデロス島,酒神ディオニュソスとクレタの王女アリアドネの神話と結びついた群島中で最大のナクソス島,ギリシアで最も美しい純白の大理石を産したパロス島,海上交通の中心地シロス島,黒曜石を産し,また《ミロのビーナス》が発見されたミロス島,白壁の家と風車の島ミコノスMíkonos,火山島ティラThíra(サントリニ),その他アンドロスÁndros,ティノスTínos(テノス),シフノスSífnos,アモルゴスAmorgós,キトノスKíthnos,イオスÍos,セリフォスSérifos,ケアKéa(ケオス),シキノスSíkinosなどがある。
[歴史]
ギリシア,小アジア,クレタをつなぐ海のかけ橋として,航海上の要地を占め,新石器時代からすでに小アジア系の人々が住み着いた。…
…日本では福島県石川,岐阜県苗木,奈良県二上山,広島県勝光山などにコランダムが産出し,石川,苗木にサファイア,大分県木浦鉱山にルビーの産出が知られている。エメリー鉱床は,多くの場合,ボーキサイト鉱床が接触変成作用を受けたもので,ギリシア,トルコ,アメリカなどに知られているが,ギリシアのナクソス島のものが有名である。日本では大分県木浦鉱山でエメリーが採掘されている。…
※「ナクソス島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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