日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナルボンヌ」の意味・わかりやすい解説
ナルボンヌ
なるぼんぬ
Narbonne
フランス南部、オード県の都市。スペインの地中海沿岸地方とフランス南西部との分岐点に位置する交通の要地。人口4万6510(1999)。紀元前118年、ナルボ・マルティウスNarbo Martiusの名でガリア最初のローマ植民都市として建設され、マルセイユに次ぐ海港となった。その後ガリア・ナルボネンシス地方の首都となって発展したが、5世紀には西ゴート人、8世紀にはイスラム教徒により占領された。759年にセブティマニ公国の首都となり、中世にはトゥールーズ伯に属した。1507年にフランス王領となった。1320年オード川の氾濫(はんらん)によって海港は土砂に埋まり、港の機能を失ったが、その後ロビーヌ運河によって海岸の新港とも結び付くようになった。現在、ぶどう酒、ブランデー、白ヒース蜜(みつ)の産地として知られ、郊外にはウラン精製工場がある。細い通路の旧市街には、13世紀創建、ゴシック様式のサン・ジュスト大聖堂、12~13世紀のサン・ポール・スルジュ教会、ゴシック様式の市庁舎など、歴史的建造物が多い。
[青木伸好]