改訂新版 世界大百科事典 「ハリギリ」の意味・わかりやすい解説
ハリギリ (針桐)
Kalopanax pictus (Thunb.) Nakai
山地に生えるウコギ科の落葉高木。和名はキリに似てとげがあることによる。センノキ,ミヤコダラともいう。枝は太く,幅の広いとげがある。幹は直立して高さ25m以上に達する大木になる。樹皮は暗褐色で縦に裂け,太い幹にはとげがない。葉は枝の先に集まって互生し,モミジのように7~9裂し,秋になると黄褐色に色づいて落ちる。花は枝先に束生する花序に球形の散形花序をつくって多数つき,小型で黄緑色。花弁は細長い三角形で5または4枚。おしべは5または4本。花期は7~8月。子房は下位で,2花柱がある。果実は球形で秋に藍黒色に熟し,鳥に食べられて種子を散布する。材は良質で有用な環孔材で,心材は淡黄褐色,辺材は淡黄白色。もっぱら栓と呼ばれ,合板,建具,家具,器具材として広く用いられ,楽器,車両や船舶の内装,彫刻などにも用いられる。若葉は食用となる。日本全土と中国に分布する。また根皮や樹皮にはサポニンを含み,風邪薬とされる。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報