イギリスのるつぼ鋳鋼の発明者。ドンカスターの町の時計師だったハンツマンは、輸入するぜんまい用のドイツ鋼の質が悪いので、鋼を溶解して含まれる残滓(ざんし)を分離することによって良質の鋼を得ようとした。銑鉄は溶けるが融点の高い鋼は溶けないという常識への挑戦であった。1740年ごろ、金属をるつぼに密閉して溶解する真鍮用るつぼ溶解炉(しんちゅうようるつぼようかいろ)を適用し、コークスを燃料とすることによって得られる高温で目的を達した。初め硬くて加工しにくいのを理由にシェフィールドの刃物業者は使用を拒否したが、フランス業者に輸出され、それからつくった刃物の優秀さのために地位を脅かされるに及び採用に踏み切り、以来シェフィールド刃物の名声の基礎となった。
[中沢護人]
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…高炉法の出現は鉄の鋳造という新しい産業を開拓し,鋼を鉱石から直接製造する方法に代わって,まず高炉で溶けた鋳鉄(銑鉄とも呼ばれる)をつくり,精錬炉で可鍛鉄にするという2段階法を生みだした。溶融状の鋼は1740年イギリスのハンツマンBenjamin Huntsman(1704‐76)により初めてつくられた。この鋼はるつぼに原料を密閉し加熱して溶かすので,るつぼ鋼とも呼ばれる。…
…錬鉄,鋳鉄の〈共融解〉法と同じ方法が16世紀のイタリアのビリングッチョV.Biringuccio(1480‐1538)によって実施されている。インドのるつぼ鋼法は18世紀のB.ハンツマンのるつぼ鋳鋼法の先行者で,19世紀に評判になったF.vonウハティウスの〈鉱石鋼〉法そのものである。こうして紙,印刷,磁石,火薬についてのいわゆる古代技術の東高西低は製鉄技術についても完全にあてはまるといえそうである。…
…高炉法の出現は鉄の鋳造という新しい産業を開拓し,鋼を鉱石から直接製造する方法に代わって,まず高炉で溶けた鋳鉄(銑鉄とも呼ばれる)をつくり,精錬炉で可鍛鉄にするという2段階法を生みだした。溶融状の鋼は1740年イギリスのハンツマンBenjamin Huntsman(1704‐76)により初めてつくられた。この鋼はるつぼに原料を密閉し加熱して溶かすので,るつぼ鋼とも呼ばれる。…
※「ハンツマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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